鴨田 重裕

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Kamoda, Shigehiro

准教授(秩父演習林長/森林生物機能学研究室)
専門分野:森林化学

プロフィール
今年は芦別岳に二度登りました。一度目は雪解けのころ本谷という沢の雪渓をつめるコース。二度目は初冠雪したのであわてて行った旧道コース。この山は何度も登っていますが、行く度行く度魅せられる山です。今年二度目の山行の目的の一つは頂上の枕状溶岩を観ることでした。今夏地質調査に来られた高嶋礼詩博士に聞くまで枕状溶岩には全く気付かずに何度も何度も頂上を通過していた自分が面白おかしくもあり、「それなら早晩見に行くさ」と虎視眈々機会を窺っていたのでした。でも、結局頂上はものすごい風で凍るような寒さ、即退却余儀なく、枕状溶岩の確認は21世紀を待つ次第と成ったのでした。その時の情け無い写真を紹介したいと思います。枕状溶岩が写っていることでしょう。申し遅れましたが芦別岳は北海道演習林の事務所がある富良野市山部町の西側に聳える山で、えらくカッコイイのです。花も結構見られます。昨年は頂上付近で「やけに掘り返し跡が多いなぁ」と思ったら、遠くにヒグマも見ました。新道コースと旧道コースとあります。新道は登ったことないですが、登り旧道降り新道がお勧めですね。

★現在の主要な研究テーマ
★研究業績
★学位
★学会活動
★教育活動
★社会貢献
★ひとこと


★現在の主要な研究テーマ
「樹木とそれを取りまく生物たちのケミカルコミュニケーションに関する研究(①トウヒ属樹木のアセトフェノンおよびスチルベン代謝系を中心とした防御機構の解明 ②ラコディウム菌による病害発生のメカニズム解明③ラコディウム菌と他の菌類とのバランスをケミカルコントロールする)」
「アスベスト鉱山跡地の緑化に関する研究(①ファイトレメディエーションに着目した緑化候補の選定と植栽試験②重金属が植物に与える影響と応答反応」
「微生物によるスチルベン分解に関する研究(リグノスチルベンジオキシゲナーゼアイソザイムの構造・機能の解析)」

★研究業績
researchmap

★学位及び賞等
東京大学博士(農学) Pseudomonas paucimobilis TMY1009株の産生するリグニンモデル2量体側鎖開裂酵素の構造と性質 1993年3月

★学会活動
日本木材学会、日本農芸化学会、日本植物細胞分子生物学会

★教育活動
●教養学部
「全学体験ゼミナール 森に学ぶ(7)」
●農学部
「森林生態圏管理学」、「森林実習」
●大学院
「森林遺伝子機能開発学」、「森林遺伝子科学演習」、「森林遺伝子科学特別演習」「生圏システム学特別実験・研究」

★社会貢献
市民公開セミナー

★ひとこと
森林で起こっていることを化学物質を介した生物相互のやり取りという側面から理解しようと取り組んでいます。例えばエゾマツと暗色雪腐れ病菌との攻防。エゾマツは4'-ヒドロキシアセトフェノンという低分子化合物を葉に蓄える。この物質は比較的高濃度にすると暗色雪腐れ病菌に対し静菌作用が認められる。エゾマツ幼苗の葉中アセトフェノン量を調べるとかなりばらつきがあることが分かる。何かしらの刺激を与えアセトフェノン生産量を増やしたり、アセトフェノン生産量の多い家系を選抜するなどすると暗色雪腐れ病を克服できるかも知れない。また、何かしらの刺激によってアナログ2',4'-ジヒドロキシアセトフェノンを蓄積するようになると、それの持つ殺菌作用により誘導抵抗性を発揮するかも知れない。いっぱい「・・・かも知れない」メカニズムを解き明かし、一つでも役立てられたらとてもウレシイ。