研究

田無演習林

研究の概要

本演習林は各種試験林を始めとする樹林の他に、苗畑、温室、生物実験室などの実験施設を備えており、フィールドと実験室が一体となった研究環境を有しています。本演習林の研究課題としては、樹木の生理生態や遺伝育種、森林生態系に関する研究などが挙げられます。近年では、特に樹木の環境応答の解析、都市林の健全度保持・機能増大などを重点的課題として研究に取り組んでいます。

①樹木の生理に関する研究
本演習林では開設以来の中心的研究課題として、種子・苗木・林木の生理・生命現象を理論的に解明し、育苗・育林技術へ応用することを目的として、種子の発芽、苗木の栄養繁殖、林木の成長等の仕組みを生殖生理、栄養生理、水分生理およびガス交換などの面から解析してきました。近年では、地球温暖化や大気中の二酸化炭素濃度の上昇に関連して環境変動に対する樹木の応答について水分生理やガス交換の面から生理生態学的解析を行うとともに、都市樹木の環境ストレス評価やストレス応答、健全度評価に関する研究を行っています。

②樹木の遺伝育種に関する研究
本演習林ではこれまで、アカマツ・クロマツを中心とした開花・受精・結実に関する基礎的研究、改良ポプラ品種のin vitroでの遺伝子保存、熱帯産アカシア属樹木の組織培養系の確立、などを行ってきました。現在では、採種園の生産性に関する研究や、栄養繁殖技術の高度化、病害抵抗性の遺伝的解析に向けた取り組みなどを行っています。

③都市林生態系に関する研究
森林生態系に関する研究は、1950年頃から苗木や成木におけるガス交換の研究を皮切りに林木の物質収支に関する基礎的研究が開始され、その後林内に生息する小動物、昆虫等の個体群生態学的研究、昆虫と植物との相互作用など、森林生態系の構造に関する基礎的研究が行われてきました。近年では都市に残存する森林の重要性に鑑み、環境特性や生態系の長期観測、森林生物の環境選好性や生物間相互作用の解析など、都市林生態系の実態を明らかにするとともに都市林の健全度を保持してその機能を増大させるための研究に取り組んでいます。

④樹木医学に関する研究
樹木医学に関する研究は、1980年代前半から緑化木の害虫に関する個体群生態学的な研究が開始されました。本試験地では2000年以降、上記3つの重点的課題と絡めつつ樹木医学に関する研究を進めてきました。現在では、マツ材線虫病(松くい虫)に関する研究、ナラ類の萎凋病に関する研究、病原菌に対する樹木の防御反応に関する研究、などに取り組んでいます。

tanashi03.jpg
第一苗畑
研究教育の拠点となる苗畑です。

tanashi04.jpg
水分生理の測定
高所に着生する葉の生理状態を測定しています。

 

tanashi05.jpg
改良ポプラ成長試験地
1964年にクローン保存及び実験の目的で約40品種が導入されました。

tanashi06.jpg
マツノマダラカミキリの動態調査
材線虫病によって枯死したマツから羽化する媒介昆虫であるマツノマダラカミキリを捕獲します。