研究

千葉演習林

研究の概要

千葉演習林の第12期試験研究計画(2005-2014年度)における中心的な研究課題は、「人工林の育成管理を中心に据えた持続的な林業経営」と「森林植生の維持を目的とした野生生物の適正な管理」の2つです。

  前者に関して、千葉演習林は設立以来、110年以上にわたり人工林造成を基軸とした森林経営を実践してきました。その結果、現在では高齢級の人工林が多く存在し、人工林824haのうち80年生以上が37%、100年生以上が12%を占めます。こうした高齢人工林を対象として、小面積皆伐や利用間伐を活用した長伐期施業の研究、木造建築文化財を維持するための長尺・大径材生産の研究、さらには、奥地の高齢人工林を針広混交林へ誘導する施業法の研究などを行っています。

後者に関して、1980年代からニホンジカによる植栽苗の食害や、天然林の下層植生への採食圧が認められるようになりました。さらに、ニホンジカの増加に伴うヤマビルの増加が顕著で、研究教育活動に支障が生じています。環境収容力を基礎にした野生生物管理を実現するための研究がすすめられています。

その他の主要な研究課題として、対照流域法による総合的森林水文研究、モウソウチクの開花結実周期に関する研究が挙げられます。また絶滅の危機に瀕している房総のヒメコマツを保全する研究に取り組んでおり、最近では更新阻害要因として「かさぶたがんしゅ病」が明らかにされました。

02.jpg
牛蒡沢11林班C1小班高齢スギ人工林
本林分は創設期の造林地の一つで、1906年に植栽されました。面積は6.92haで小班中央に成長測定試験地が1940年に設定され5年ごとに調査が行われています。大きいものは樹高50m超、胸高直径90cm超となっています。

c-fig1.jpg
人工林の齢級構成
千葉演習林には高齢級の人工林が多く存在し、人工林824haのうち80年生以上が37%、100年生以上が12%を占めています。

 

04.jpg

ニホンジカとヤマビル
千葉演習林では1980年代からニホンジカによる植栽苗の食害や、天然林の下層植生への採食圧が認められるようになりました。さらに、ニホンジカの増加に伴うヤマビルの増加が顕著で、研究教育活動に支障が生じています。

 

05.jpg

主要な研究課題
左:袋山沢水文試験地。本試験地は、森林が降雨流出に及ぼす影響を対照流域法を用いて総合的に解析することを目的に設定されました。試験地の集水域は3つに分けられ、それぞれに量水堰堤が設けられ、流出水量、水質、堆砂量、浮遊砂量など数多くの項目について観測されています。
中:枯死したモウソウチク林。1930年、開花・結実・枯死した横浜市のモウソウチク実生苗が、郷台に移植されました。その後、1997年(67年生)に全個体が開花結実し枯死しました。
右:房総のヒメコマツ。房総半島には他の地域から隔離された状態で、ヒメコマツが分布しています。しかしマツ材線虫病、次世代稚樹の不足などにより、地域的に絶滅しかねない状況となっています。