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研究

生態水文学研究所

研究の概要

①気象の研究
都市の気温は年々上昇していますが、生態水文学研究所の気温は1928年以降現在まで大きく変化しておらず、地球温暖化と森林の冷やし効果が相殺しているものと考えられています。

②水文(すいもん)の研究
水文学とは、「水資源の開発・保全・水と環境・水文環境の管理などに関する研究を含む水に関する総合科学」のことです。生態水文学研究所では流域の植生を自然状態に保ち、そこから流れ出る川の水量を1929年から計測しています。

③水質の研究
白坂森林水文試験地では、降水と地下水、河川水の水質を長期観測しています。2000~2006年の7年間では、降水のpHは平均4.7で酸性雨ですが、地下水は6.3です。ミネラルの濃度は降水よりも地下水の方が高く、岩や鉱物の成分が水に溶け出しています。高濃度の場合に有害といわれる硝酸は逆に、地下水の方が雨水よりも濃度が低くなっています。

④土砂の研究
白坂流域がハゲ山だった時、1へクタールあたり1年に23.8トンの表面侵食が起きるのに対して、森林が回復した現在では0.4トンに激減しました。白坂流域からの流送土砂は1ヘクタールあたり1年に7.5トンで、2000年9月の東海豪雨以降、一時期に限って増大しており、豪雨によって発生した崩壊地が現在でも土砂の発生源となっていることがわかりました。

⑤森林施業試験
生態水文学研究所は全域が保安林に指定されており、森林の公益的機能の発揮に配慮した森林施業法開発のための各種試験を行っています。モザイク試験地は天然林の中に最大0.1ヘクタールのスギ、ヒノキ林をモザイク状に配置して木材生産を目指します。複層林試験地は壮齢のヒノキ林を強度間伐し、明るくなった林内に後継となるヒノキを植栽し、将来複層林に誘導して択伐による持続的な木材生産を目指しています。ヒノキ壮齢林密度試験地は長伐期・大径材生産のためにはどの密度が最も適しているのかを検証します。他にもスギ・ヒノキ間伐試験、スギ品種・産地別成長比較試験、ヒノキ人工交配苗植栽試験などが行われています。

⑥長期生態系モニタリング
生態系の変動を100年にわたり詳細に追跡していく長期生態系モニタリングを実施しています。1ヘクタールのLTER調査地内にある樹木の成長や交代を毎年、葉や種子の落下を毎月計測しているほか、オサムシを中心とした地上徘徊性昆虫の採集も行っています。採集した落葉・種子・昆虫はすべて保存され、植生遷移と温暖化が進む中でどのような変化が現れるかを捉えています。この調査地は白坂森林水文試験地の中にあり、水循環と植生の関係についても成果が期待できます。2004年には環境省の全国長期生態系モニタリング事業の調査地としてJaLTERのコアサイトの一つとして指定を受けました。

⑦鳥の研究
森林の構造が異なると、そこに棲息する鳥類群集が異なります。愛知演習林では人工林、砂防植栽林などにおける鳥類群集の長期的な変化を調査しています。1983年から巣箱を設置したヤマガラ、シジュウカラの繁殖生態調査も行っています。

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白坂量水堰
2000年東海豪雨

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モザイク試験地
濃い緑が人工林、薄い緑が天然林