【教育紹介】森林科学基礎実習に向けたフィールドでの準備
※本記事は2024年5月10日発行のニュースレターmorikara3号に掲載されています
演習林では、多様なフィールドを生かした森林科学に関する専門教育が行われています。むしろ、森林科学に関する専門教育を行うために、多様なフィールドが演習林として設置されているという側面もあります。土砂災害などに対して安全な生活環境を創出してくためには砂防・治山事業が必要ですが、そのための砂防工学の基礎を学ぶ実習が「森林科学基礎実習Ⅳ」(2024年度からは森林科学基礎実習Ⅱ)の一部として、愛知県瀬戸市にある生態水文学研究所赤津研究林において実施されています。この実習では、土砂流出量観測と山地流域測量が行われています。このうち山地流域測量とは、言ってみれば森林流域の地形図を作成するものでトランシットやポケットコンパスといった測量器具を使って方位角や高度角や距離を計測し、そのデータをもとに図面化を行います。
山地流域測量は、生態水文学研究所(の前身の愛知縣演習林)が設立された100年前から続くものですが、当時の生態水文学研究所の実習地一帯は、はげ山化しており、樹木が少なかったため、とても見通しがよく、測量の実習に適した状態でした。しかし、近年でははげ山は回復し、樹高も高くなったがゆえに見通しは悪くなっています。山地流域測量を行うためには、少なくとも三角点間の見通しを確保しておく必要があります。
近年、山地流域測量は1ヶ所・2班体制で行っていましたが、実習の質の向上のために、2ヶ所・2班体制での実施をすることになりました。このために、新たな実習区域を設定し、三角点間の見通しを確保するための樹木の伐採を、2024年2月に技術職員を中心に実施し、次の実習に向けた準備を進めています。
実習のフィールドである森林は変化をしますが、演習林では教員だけではなく技術職員とともにフィールドの維持や、質の高い教育の実施に努めています。
測量点間の見通し確保に向けた支障木伐採場所(左)と確保された見通し(右)