(AS13)
PHUA Mui How
マレーシアサバ大学 国際林業学部
pmh@ums.edu.my
生物多様性クレジットは、ネイチャーポジティブな成果を資金面で支えるメカニズムとして普及が進んでいますが、マレーシアにおける実装は依然として初期の準備段階にあります。国家レベルの生物多様性政策において保全目標は明文化されているものの、生物多様性クレジットを運用可能にするための実務的な経路は、未解決の土地所有権、不十分なガバナンス体制、および(特に人間活動が支配的な景観における)空間的に明示的な保全フレームワークの欠如によって制約されています。
本研究では、北部ボルネオの事例を通じ、参加型地理情報システム(PGIS)を用いた共創がいかにローカル・ガバナンスと制度的基盤を強化し、生物多様性クレジットの準備状況を向上させ得るかを実証します。クロッカー山脈生物圏保全地域に隣接する集落が主体の景観において実施された本調査では、住民参加型のマッピングを通じて土地利用を記録し、保全地域を特定するとともに、地域の生態学的知識を土地利用計画へと統合しました。この共創プロセスを経て、「集落保全地域(Community Conserved Area)」が正式に設立され、生物多様性に関連する土地に対する法的承認と集団的なスチュワードシップ(管理責任)が確立されました。
分析の結果、PGISは、所有権の明確化、ステークホルダー間の合意形成、および空間的に明示的な保全ゾーンの設定など、生物多様性クレジット開発に向けた必要条件を整える役割を果たすことが浮き彫りになりました。本研究は、集落主導のマッピングを広範なネイチャーポジティブ目標と結びつけることで、ガバナンス重視の介入がいかに政策上の野心と現場の実装との乖離を埋めることができるかを示しています。
(翻訳 鎌田直人)
© 2026 第二回アジア生物多様性クレジットアライアンス国際シンポジウム