講演要旨

(AS12)

侵略的外来種のさび病菌Austropuccinia psidiiが
生態系の健全性と生物多様性クレジット市場へおよぼす影響

Sri RAHAYU, Rhomi ARDIANSYAH, KAHARUDDIN, WIDIYATNO

ガジャマダ大学 林学部 森林生物学科
sri.rahayu2013@ugm.ac.id

外来種であるさび病菌 Austropuccinia psidii(フトモモ科さび病菌、通称:マートルラスト)の世界的拡大は、フトモモ科植物が多くみられる生態系の生物多様性にとって、バイオセキュリティ上の重大な課題となっています。本研究では、A. psidii が引き起こす複数の栄養段階にわたる撹乱を調査し、これらの生態学的影響が、新興の生物多様性クレジット市場においていかに財務的リスクに転換されるかを評価します。樹冠被覆率の低下、キーストーン種の繁殖不全、およびそれに続く生息地ニッチの喪失を分析することで、生物多様性完全性指数(BII)を用いたシミュレーションを通じて、生態系完全性の測定可能な毀損を実証します。本知見に基づけば、A. psidii の侵入は、種の喪失と生態系撹乱を通じて「生態学的完全性」を直接的に低下させ、生物多様性価値の損失を招きます。これは生物多様性オフセットに影響を及ぼし、高品質な生物多様性クレジットの創出、販売、あるいは維持を困難にします。さらに、A. psidii は、生物多様性クレジットとセットで扱われることもあるカーボンクレジットにも間接的に関連しています。自然環境に一度定着すると、A. psidii の除去は不可能であり、生物多様性クレジットの生存可能性に対する継続的な脅威となります。したがって、クレジットのモデルには「リスクバッファー(不確実性に備えた予備)」を組み込む必要があります。この統合は、生物学的侵入が増加する時代において、クレジットの完全性を保証し、長期的な保全成果を確保するために不可欠です。

(翻訳 鎌田直人)

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