講演要旨

(AS11)

シロクロコサイチョウの再導入は
エコツーリズム島の生物多様性の価値を高めるか?

Nantida SUTUMMAWONG1*, Vijak CHIMCHOM2, Siriwan NAKKHUNTOD2, Chinarong PUNKONG3, Somying THUNHIKORN4, Nukool PUNKONG3, Sittichia JINAMOY2, Sarinya WIANGWONG2, Peerawut RINKUM1,
and Pilai POONSWAD2

1カセサート大学林学部森林生物学科, ffornis@ku.ac.th
2マヒドン大学理学部サイチョウ研究財団
3動物園協会 カオキィアオ動物園
4国立公園・野生動物・植物保全局 野生動物保全事務所 野生動物研究部

ネイチャーポジティブ経済を実現するには、復元活動の成果を明確に示す信頼性の高い生態学的指標が不可欠です。本研究では、生物多様性クレジットの開発に関連する種ベースの指標として、タイのクッド島におけるシロクロコサイチョウ(Oriental Pied Hornbill)の再導入事例を検証します。島内の自生植物の約68%がサイチョウによって種子散布されることを踏まえると、このキーストーン種である果実食動物の復活は、約40年間にわたる地域的絶滅を経て、森林再生に必要な種子散布プロセスの回復をもたらす可能性があります。

2021年から2025年にかけてのデータは、2024年に野生下での雛の誕生が確認されるなど、初期の回復の兆しを示しています。しかし、個体群はいまだ個体群動態的な安定(demographic stability)に達していません。2025年、アンカーパートナー(Soneva Foundation)からの資金提供の停止により、今後の個体放鳥の予定が立たず、プロジェクトの継続性に重大な脅威が生じています。

本研究では、Savimbo、Wallacea Trust、Plan Vivo、およびVerraという4つの生物多様性クレジット・フレームワークと比較分析を行い、指標種に基づいたクレジットが、個体群定着に必要な追加放鳥資金の不足をいかに補填し得るかを検討しました。個体群の定着には至っていないものの、種の再導入は、生物多様性クレジット・メカニズムを担保するための、生態学的に実用的かつ情報価値の高い復元モニタリング指標となり得ることが明らかになりました。

(翻訳 鎌田直人)

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