講演要旨

(AS10)

生物多様性クレジットのためのDNA多様性の活用:
フィリピン在来植物種の保全戦略

Lerma SJ. MALDIA

フィリピン大学ロスバニョス校 林業・自然資源研究院 森林生物科学科, lsmaldia@up.edu.ph

フィリピンは、その豊かで固有性の高い生物多様性で知られていますが、生息地の喪失、気候変動、および過剰搾取による脅威の増大に直面しています。これらの課題に対処するには、生物資源の有効な保全と持続可能な利用を支える、革新的で科学的根拠に基づいたメカニズムが必要です。本論文では、フィリピンの自然クレジット(生物多様性クレジット)開発の基礎として、生態学的・経済的に重要なフィリピン固有の絶滅危惧樹種を事例に、DNA多様性を活用する可能性を探索します。このアプローチは、保全活動へのインセンティブを付与する斬新な戦略を提示するものであり、より広い地域への適用が可能な、拡張性のある知見を提供します。ゲノム技術を利用して種内および種間の遺伝的変異を定量化・モニタリングすることで、生物多様性評価の正確性、透明性、および信頼性を高め、測定可能かつ取引可能な生物多様性クレジット制度の確立を可能にします。DNAに基づく生物多様性クレジットの導入は、遺伝資源の保全を動機づけ、持続可能な開発を支援し、公平な利益配分を促進する強力な手段となり得ます。さらに、この手法は生物多様性条約(CBD)に基づく多国間コミットメントや、ASEAN生物多様性戦略、アジア太平洋生物多様性保全フレームワーク、およびフィリピン生物多様性戦略行動計画(PBSAP)などの地域的枠組みとも整合するものです。総じて、本戦略は、生物多様性ファイナンスを強化し、地域協力を育み、国および地域の生物多様性目標を推進するための、拡張可能かつ科学主導の道すじを提示します。

(翻訳 鎌田直人)

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