(AS08)
チェ・ヘヨン1,2,キム・スングック1,チュン・ジュンサン1
1ソウル国立大学校, hy.choe@snu.ac.kr
2ソウル国立大学校 農学生命科学院
昆明・モントリオール生物多様性枠組が掲げる「ネイチャーポジティブ(自然再興)」目標の達成に向け、国際社会は「30by30」目標への取り組みを加速させています。特に、急速な経済成長と緊急性の高い保全ニーズが交差するアジアにおいては、単なる「量の拡大」から、自然資本の価値を最大化する「質の高い管理戦略」への転換が求められています。しかし、データの不足と社会経済的な制約が依然として大きな障壁となっています。効果的な保護地域の指定には、不確実な将来環境下での生態系機能を予測的に評価し、限られた資源を最適に配分する必要があります。そこで本研究では、データに制約のある地域でも適用可能な、気候代替指標(climate-based surrogates)と連結性解析を用いた、保全効率向上のための包括的な空間計画フレームワークを提案します。具体的には、将来的な気候リフュージア(退避地)の特定や、既存の保護地域の偏りを解消し、見落とされてきた生態系を網羅する手法について、自然資本リスクの管理と資産価値向上の観点から論じます。極めて重要な点は、このアプローチが保全優先順位の空間的なトレードオフを調整するための科学的根拠を提供するということです。この透明性により、OECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する地域)や生物多様性クレジット、企業のESG経営といった民間投資を、実効性のある自然回復へと戦略的に誘導することが可能になります。科学的根拠に基づく空間計画は、生態系の健全性と経済的な持続可能性の両立を保証するものであり、アジアがネイチャーポジティブ経済へと移行するための不可欠な戦略的基盤となります。
(翻訳 鎌田直人)
© 2026 第二回アジア生物多様性クレジットアライアンス国際シンポジウム