講演要旨

(AS07)

データから意思決定へ:生物多様性を企業の意思決定に組み込み
アジアのバイオクレジットの基盤を構築する

蔡 明哲1,George Hu2

1国立台湾大学 農業・生物資源学院 実験林, tmj@ntu.edu.tw
2国立台湾大学 林業・資源保全学科, george.hu@worldclimatefouncation.org

生物多様性の損失は、もはや単なる外部の問題ではなく、取締役会レベルの監督を要する重大なシステムリスクとなっている。本発表では、国立台湾大学(NTU)演習林が、保有する120年間にわたるモニタリングデータを活用して、フィールド科学と企業の意思決定のギャップを埋めている様子を紹介します。

本プレゼンテーションでは、LiDARから得られる森林構造、種の豊富さ、そして長期的な生物多様性モニタリングを統合した「指標バスケット(basket of metrics)によるアプローチを通じて、複雑な生態学的情報を標準化された監査対応指標に変換するBioPlus手法を紹介します。これにより、取締役やリスク委員会は、生物多様性の「向上」を、企業のリスク管理(ERM)やTNFDを含む自然関連財務情報開示のための定量化可能な資産として解釈できるようになります。

E.SUN Financial HoldingsやCathay Financial Holdingsといった金融機関が、科学的根拠に基づいた生物多様性クレジットを用いて信用リスクを評価し、サプライチェーンのレジリエンスを強化し、自然共生的な成果に向けた資本配分を支援している実例を紹介します。最後に、この取り組みを、多様なアジアの生態系における方法論の調和を目指して活動する9つの大学からなる連合体であるアジア生物多様性クレジット・アライアンス(ABCA)における位置づけについて考察します。

この枠組みは、生態学的データを意思決定に役立つ金融商品に変換することで、企業や金融機関が取締役会レベルの戦略や投資決定に生物多様性を自信を持って統合するために必要なガバナンスと方法論的インフラを提供します。

(翻訳 鎌田直人)

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