・第15回研究会
2006年9月02日の記録

話題提供者
吉村伸一

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吉村伸一 (株式会社吉村伸一流域計画室)
 「河川整備計画への市民参加と協働プロセス:  いい川・いい川づくりに向けて」 よりよい河川整備(保全)のために市民と河川管理者がどう協働していくか、入口としての会の形式だけではなく、いい川・いい川づくりに向けた協働の実態を構築していくプロセスとしてとらえる視点に立ったとき、今動いている流域住民の意見を聞く会をどう活かして、次のステップ
につなげていくかを考える。

当日パワーポイント PDFファイル84KB
当日配布レジメ    PDFファイル16KB
※話題提供者より参考情報
当日の話題提供にありました土岐川庄内川コレカラプロジェクトの内容は国土交通省庄内川河川事務所のHPですべて閲覧できます。http://www.cbr.mlit.go.jp/shonai/body/4.html

(速記録)内容に関し、誤字・問題・修正等がありましたら当ページ管理人までご連絡下さい。


最初に、お二方とは違うスタンスで
河川整備計画で、市民参加、をどうしたらいいのかということを、研究者ではなくプランナーとして、仕事をしながら実践しながら考えていることを。
まず、吉野川方式について、どちらがいい悪いという話ではないということをお断りさせていただく。
●岐阜から流れてきている庄内川について。整備計画に携わった経験から。
入り口の話。30年で考えましょうということ。物事はいろいろ変わる。状況は変わる。吉野川で言えば第十堰で言えば作るといっていたのがいま作れていない。
●計画を今やる。住民参加で検討しましょうということ。30年でスパンの中で出来るだけいい計画を作る必要があるけれどもこれは一瞬である。常に実施の段階で
より良い計画作りをするということが必要だけれども、その時々で必要になってくるということ。どういう風に仕組みを考えていったらいいのかということ。
●住民参加の枠組み設定は簡単ではない。流域委員会は私から見れば、審議委員会に、一般市民が関わったということ。流域委員会に参加している専門家は河川工学者ばかりであったが現在は生態学者がほとんど入っている。それに住民が入っている。10人なのか50人なのかの違いはあるけれども。そういう人たちが継続的に話し合う場である。流域の市民参加ということ考えたらいろんな団体がいる。コミュニティがある関係自治体がある。いろんなところからいろんな情報が、アンテナが必要ですということ。
●地域レベルで状況が違ったりする。トータルにしようと思ったら実際するのは非常に大変。トータルでやろうとするとすごく難しい。河川管理者について、市民参加は多様な意見を持っている。
●ワークショップは意見をまとめる。意見は皆違う。どれがいいとか悪いとかは決められない。意見は考え方、考え方のベースが問題。治水第一環境を重視してなかったから稼動改修をしたり、ダムを造ったりしていた。河川は環境であるということであればまた異なる。
●私は、意見を聞くけども意見を反映するというスタンスを取らない。自然豊かな川を大事にしたいという意見に関し、あなたが大事な川はどこですかと聞く。そこで初めて、なにが大事かということや、どうつかむかということがわかる。河川管理者が、聞いた意見で、実際にそこにいったら、確かにここの環境は大事だということで注意して河川改修を行う。
●意見を集めたら、いろんなことが出る。道路のこと干潟のこと抽象的なこと具体的なこと。ワークショップはまとめないとまとまらないからクルーピングしていく。どんな意見も自然が豊かな川、親しめる川、安全な川と1つに集約できる。必要でないといっているのではなくこれはこれで必要。抽象化してしまう。抽象化すればするほどいろんな人の意見を取り入れられる。ワークショップは形式としてそのようなものをもっている。個別具体的なところを大事にしたいと考えている。

●意見よりも意見の底にある空間的情報を大切にしたいと考えている。川にどういった情報があるのかは行ってみないとわからない。出てきた意見がどこから出てきたのかと言うこと、意見の前に情報だということ。空間的な情報に置き換えて、河川管理者に見せる。こういう情報があれば、ここが危ないということになればいい。住民参加で、参加することによってたくさんの情報が集まる。河川管理者が悪いことをやろうと思っていやっているのではなく知らないだけなのです。知らないことを教えるために、そういうところに市民の皆さんは参加していき、充実させていけるかということ。
●そもそも第十堰を守れと言ったのも、子供の頃遊んだ体験から得た価値が最初。別に第十堰に限らない。意見でなく情報をたくさん持っている。そういうものを大事にするということ。
●土岐川・庄内川での話し。流域委員会、15名くらい。地域懇談会(公募市民100名実質50名くらい)オープンハウスとして行う。不特定多数の人から情報を集める。
住民参加としては流域委員会だけではない。トータルにどうしたらいいのという枠組みが大切。オープンハウスの意見も地図情報にするということ。2900の意見がある。それをどう整理するか。整理しても読む気もしない。無駄だとはいわない。必要ないといっているわけではない。地図情報にしていく。ここは改善して欲しいとか、ここは昔は良かったなどマーキングしていく。どこにどんな情報があるかということ。ダム計画などがないからでもあるが。土岐川・庄内川情報マップと言うのと、提言を出しましょうということ、協働してこういうことをしようという提案をしていく。最初から地図情報。とにかく情報を出し合う。情報を元に一巡して川を見に行こうということで、皆で見に行く。見に行くと発見がある。ラムサール登録されるような藤前干潟がある、市内を流れている渓谷がある、
市町村ごとの間に渓谷部がある、化石が川原から出てくる。こういう面白いところがある。輪中のようなところがある。説明きかないとないと何も気がつかない。
●空間的な情報にしていくと、環境とはなんなのとか、危ないのは何なのかということが明確になってくる。そういうのを見つける事が大切。
●ミニ水防拠点を作るとか、いい水辺を作るとか現場からの提案から具体的なプロジェクトが生まれる。現場で考える。
●提言書を作る。抽象的な整理をして、具体的な提言を。
●100キロの間に出てきた情報を取捨選択せずに整理、表示していく。河川管理者もわかりやすくしていくということ。それにより提言が出来る。昨年の2月提言書を書いて解散した。もっと具体的に何が出来るかということで何か始めようということで活動を開始して、土岐川庄内川交流会と言うことで、草刈をしてみるというプロジェクトを始まっている。源流から河口まで100キロ歩いた。
●土台を豊にするということ。それを勝手に国交省に地図つきで出せばいい。どんどん情報を出していけばよい。

●村上陽一郎さんのLess Conflicting Solutions LCS:寛容の合意形成という考え方がある。ベストだというので進むのではなく、価値衝突がもっとも少ないものを最初にやってい次はもっといい方法に進めばいいと考えている。ただヨーロッパでは散々であった。


〈質疑応答〉
村上
価値観を共有していくことから、情報を蓄積していくということで、いい川が出来そうなという印象。たとえば吉野川で言えば可動堰など他の川ではダム建設など、鋭い争点になっていることに関して、適応できないこともないと思うが、その点に関してどういう風に考えているのかということと、ヨーロッパで批判されたということに関して。

吉村
ヨーロッパは白か黒かということで、寛容を許す形でやれるところからやっていくという考え方は非常に評判が悪いと書いてあった。
いい場所があるということを皆さんそれぞれ持っているのにみんなが共有していない。いい場所を共有するというきっかけに。ダム問題とかきちんと議論する場と言うのも必要。
それはいつまでも触れないというのでは決着する方法がない。
今あるところをみんなが共有できる情報にしていく。みんなが見られるような情報にしていく。それを国土交通省がサポートしていくといったことが重要では。

秋山
コレカラプロジェクトのネーミングについて。どういう意図でこの名前をつけたのか。
私たちの天竜川は、大きなダムが5つあるということで、長期濁水など被害が大きい。極論言うとダム撤去と言う話になってしまう。ただ、その前に出来ることがあると考えている。昔どんないい川だったか、今どういう川なのか、いいとこ悪いところなどを把握する。
今ある事実からスタートしていくしかないと考えている。そういった意味からも。


吉村
計画段階で、出来るだけ広範なところから意見を聞くのを始めようという考えがあった。調査課にいられた小幡さんが、大変熱心にやっていらして、その方の考えだと思います。私が関わり始めたころは、コレカラプロジェクトと言うのは、すでにあった。流域の皆さんに呼びかけるネーミングとしてつけたのだと思います。
土岐川漁協の人と一緒にやっていた。とても川に詳しいし、パトロールもしている。最初はアンケートに漁協が問題だという人もいた。大変地元のことに詳しいので、来ていただくと助かる。

秋山
私たち内水面漁協というものは、今までいろいろやってきたことは本来果たすべきことを果たしていないということであまり評価されない。市民団体やNPOからは厳しい指摘にさらされている。今の話は大変よく分かります。ただ川を良くしていくという土台に立つと、ほとんど合うのであろうと思う。

吉村
その通りだと思う。漁協の方は川をよく知っている。見方はいろいろあるが、そういうことは一緒にやっていくうち消えていく。私たちのところでは、今まったくないです。

蔵治
情報を集めて、空間、地図上に落とし込むということであったが、あの地図は河川の線上だけでとらえている。流域というイメージとはちょっと違った。線上にない情報が出てきたらどうするのか、どう落とし込むのを考えているのか。

吉村
流域を全部やるというのは無理がある。なかなか難しい。仕事でやってはいても参加される方も、流域全部やりますよといったらやはり難しい。限界があるからとりあえず川筋だけでとりあえず。支川単位だとかになってくると繋がってくるのでは。そういったグループがたくさん出てくると流域としてみることが出来るようになると考えている。蔵治さんもぜひ協力お願いいたします。

蔵治
庄内川流域にいるものとして、よろしくお願いいたします。
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