第20回日本の森と自然を守る全国集会
基調講演 パネルデスカッション 分科会 フィールド学習会
≪終了しました≫
当日採択された宣言文

当日のチラシ(PDF)

■ テーマ ■
人工林、里山林、都市の緑
 
―森と緑づくりのための行政、市民、研究者の協働―
■ 開催趣旨 ■

 「日本の森と自然を守る全国連絡会」が主催する「全国集会」は、1988年6月に長野市で第1回目を開催して以来、今年の集会は20回目の記念すべき集会を愛知県瀬戸市で開催することとなりました。

 愛知県は明治以前、尾張・三河の国と呼ばれておりました。江戸時代、尾張藩はより厳しい森林保護政策がとられてきた地であります。一方で、今回開催される瀬戸市は「セトモノの町」として全国にその名が知れわたっておりますが、陶土の採掘と燃料のマキの採取のために、瀬戸市の周辺の林野は幾度となく乱伐され、ハゲ山と化した経験があります。

 明治38年、愛知県知事の要請に応じて、そのようなハゲ山の復旧のために尽力したのが、東京帝国大学雇教師アメリゴ・ホフマンとその教え子たちです。
 ホフマンの工事は現在各地に見られるような砂防ダムや苗木を植える方法ではなく、土堰堤と柳柵(後に鉄線蛇篭に変わる)築造するのみで、植栽はあえて行わない工法でした。東京大学愛知演習林が大正11年にこの地に設立されたのも、その縁があったためです。
 その後戦時中に一時乱伐されましたが、戦後の治山工事の努力もあり、自然林の再生が進んでいます。
 
 昨今、各地で開発による自然破壊が進む一方で、市民による森や自然の保全活動が、かつてない盛り上がりを見せています。
 愛知県においても市民団体等による各種保全活動や、「森の健康診断」などが行われるようになりました。平成17年に開催された愛知万博では「海上の森」問題がクローズアップされ、愛知県は保全条例を制定し、「あいち海上の森センター」を立ち上げました。平成19年に愛知県はいわゆる森林環境税を導入する方針を表明し、人工林、里山林、都市の緑に投入する財源とすることを想定して、県議会での議論が行われております。
 さらに仮称「あいち自然環境団体・施設連絡協議会」を平成19年12月に設立しようとする動きや、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を誘致しようとする動きもあります。

 このような状況を踏まえ、今回の全国集会のメインテーマは

『人工林、里山林、都市の緑 森と緑づくりのための行政、市民、研究者の協働』
とし、講演やディスカッション、テーマ別の分科会などを開催します。

 基調講演では、森と自然の保全のために広く市民から集めた資金を、人工林、里山林、都市の緑の再生にとって有効に用いるために、どのような課題と解決策がありうるのか、全国から経験豊富な実務者を招いてご講演いただき、パネルディスカッションでは、人工林、里山林、都市の緑を巡る諸問題とその再生に向けた具体的な市民、行政、研究者の協働と「踏み出し」について議論する場にしたいと存じます。
 
本集会により、愛知県、東海地方、全国の森と自然を守るネットワークがこれまで以上に広まる機会になればと思っております。多くの方々の参加をお待ち申し上げております。
-----------------------------------------------------------------------------
■ 開催概要 ■

日程

平成19(2007)年
 12月8日 (土)    基調講演・愛知県の取り組み報告・パネルディスカッション・交流会
 12月9日 (日)    分科会・総括集会
 12月10日(月)     現地見学会

会場
 サンパレア瀬戸 (愛知県瀬戸市川平町78番地)
 アクセス情報

参加費
 1,000円 (参加日数に関わらず同額)

■ プログラム ■

12月8日(土) 13:00〜17:30

◆ 基調講演 13:10−15:30

  原田裕保 (豊田市産業部森林課長)
         「豊田市水道水源保全基金と豊田市の森づくり」
  梶返恭彦 ((財)福岡アジア都市研究所研究主査)
         「水源林の整備と水源地域との交流,連携について
                 −福岡市水道水源かん養事業基金の取り組み−」
  内山佳美 (神奈川県自然環境保全センター研究部主任研究員)
         「かながわ水環境保全・再生施策の水環境モニタリングについて」
  佐藤和歌子 (NPO法人森林(もり)をつくろう理事長)
         「環境税と山・都市の人の繋がり」 

◆ 愛知県の取組み報告 15:40−16:00

   絹川純一郎 (愛知県農林水産部森林保全課)
    「期待されるあいちの森と緑」

◆ パネルディスカッション 16:00−17:30

   コーディネータ : 飯尾 歩 (中日新聞社論説委員)
   パネリスト    : 丹羽健司(矢作川水系森林ボランティア協議会)
               蔵治光一郎 (東京大学愛知演習林)
               上杉 毅 (紺屋田の森を歩く会) 
               佐藤仁志 (環伊勢湾木曽三川河口部住民)

◆ 交流会 18:00−20:00 (参加費3,000円)

12月9日(日) 9:00〜15:00

◆ 分科会  9:00 −12:00
詳しい情報はこちら

  ● 第1分科会 「人工林問題の核心」
    コーディネータ:丹羽健司
    発表者: 原田裕保 (豊田市産業部森林課長)
          浜田久美子 (作家)
          水野雅夫 (ウッズマンワークショップ代表) 他

  ● 第2分科会 「森林環境税制を考える」
    コーディネータ: 蔵治光一郎
    発表者: 服部重昭 (名古屋大学・元愛知県森と緑づくりのための税制検討会議座長)
          藤田 香 (桃山学院大学経済学部) 他

  ● 第3分科会 「鉱業法で蚕食される都市の緑」
    コーディネータ:上杉 毅
    発表者: 伊藤幸一 (亀山の自然環境を愛する会)
          吉川三津子 (愛西市議会議員) 他

  ● 第4分科会 「流域循環・現場・原体験・(博物)館」
    コーディネータ:佐藤仁志
    発表者(予定):大沼淳一(NPO法人みたけ・500万人の木曽川水トラスト)
              美濃和紙あかりアート展実行委員会委員長 他

◆ 総括集会 13:00−15:00 

12月10日(月) 8:30〜17:00

◆ 現地見学会 
詳しい情報はこちら
  森林の水循環に関する長期研究が行われている愛知演習林の「赤津研究林」、森林の乱伐により広がったハゲ山に緑を復活させた「ホフマン工事」、この地域の地場産業である窯業や珪砂採掘により広がった「鉱山跡地」、名古屋市近郊の大切な里山であると同時に生物の多様性に富んだ「海上の森」の4ヶ所を見学しました。


■ 主催団体等 ■
主催: 日本の森と自然を守る全国連絡会
共催: 東京大学愛知演習林日本学術振興会人文・社会科学振興プロジェクト「青の革命と水のガバナンス」研究グループ
後援:
(申請中を含む)
林野庁中部森林管理局、愛知県、瀬戸市、中日新聞社、矢作川水系森林ボランティア協議会(矢森協)、伊勢・三河湾流域ネットワーク
-------------------------------------------------------------------------------
■ 問合せ先 ■
〒489-0031 愛知県瀬戸市五位塚町11-44 東京大学愛知演習林 蔵治光一郎
TEL  0561-82-2371 (平日8:30-17:15) FAX 0561-85-2838
e-mail: kuraji@uf.a.u-tokyo.ac.jp

------------------------------------------------------------------------------
第19回日本の森と自然を守る全国集会の記録へ
青の革命と水のガバナンス研究グループTOPへ