ため池シンポジウムホーム
ため池シンポジウム 分科会のご案内
第1日
2007年 9月15日(土)

15:15−17:15
会場:12号館 文化ホール

コーディネータ:蔵治光一郎(東京大学愛知演習林講師)
パネリスト:   浜島繁隆(ため池の自然研究会会長)
           青木美智男(日本福祉大学知多半島総合研究所顧問)
           近藤文男(愛知県農林水産部農林基盤担当局農地計画課)
           若山秀夫(名古屋市緑政土木局河川部計画課) 
           河合克己(半田市文化財専門委員会委員長)
           大沼淳一(元愛知県環境調査センター)
           土山ふみ(名古屋市環境科学研究所)
           矢部隆(愛知学泉大学)

テーマ
   「ため池の歴史、文化、価値と未来可能性」
趣旨

ため池という言葉を知らない人はいないでしょう。しかし今、ため池に関心を持っている人は、残念ながら昔に比べて少なくなってしまったのではないでしょうか。
 かつて食糧生産になくてはならない存在であったため池は、地域の人たちが総出で管理する「みんなの財産」でした。今や、ため池は農業用水確保以外にも貴重な生き物の生息の場として、環境や歴史、文化の学習の場として、防災設備として、さまざまな価値をもつようになりましたが、そのことは残念ながらあまり知られておらず、気がつくとため池の数は年々減ってきています。
 パネルディスかションでは、基調講演をしていただいた先生、愛知県、名古屋市の取り組みをご説明いただいたお二人に加えて、翌日の分科会でコーディネータを務められる4人の方をお招きし、「歴史、文化」「地域社会」「環境教育」「生き物の多様性」といった視点から、多くの市民、教育者、行政職員の方々に、ため池の存在と、その「地域の宝」としての現代的な価値について、もっと関心をもってもらうためには、どうすればよいかを一緒に考えていきたいと思っています。
コーディネーター紹介
蔵治光一郎(くらじ・こういちろう)
1965年生まれ。東京大学愛知演習林講師、日本学術振興会人文・社会科学振興プロジェクト研究事業「青の革命と水のガバナンス」研究グループ長
著書・論文:『緑のダム−森林・河川・水循環・防災』『森の健康診断−100円グッズで始める市民と研究者の愉快な森林調査』
これまで個別に管理されてきた水、川、池、森を、互いのつながりを考慮した新しい総合的な秩序を実現するために、理論的、実践的に何ができるか、研究者はどのような役割を果たすべきかを追求しています。
パネリスト紹介
基調講演 浜島繁隆(はまじま・しげたか)
1933年生まれ。ため池の自然研究会会長。
主な著書:『池沼植物の生態と観察』(ニューサイエンス社)、『知多半島の植物誌』(トンボ出版)、『ため池の自然学入門』、分担執筆(合同出版)、『ため池の自然・生き物たちと風景』、編著(信山社サイテック)、『ため池と水田の生き物図鑑・植物編』、共著(トンボ出版)
水草の分布、生態に興味をもち、40年近く調査、研究をしている。近年の急激な水草の減少に危機感を抱いている。1981年ため池をフィールドとする研究仲間と「ため池の自然研究会」を結成し、26年を迎える。現在もため池の生き物や水環境に関心をもち会員の研究、調査に参加している。
基調講演 青木美智雄(あおき・みちお)
1936年福島県東白川郡棚倉町生まれ。東北大学大学院文学研究科国史学専攻修士課程終了。専門の研究は日本近世文化史。
日本福祉大学経済学部教授、専修大学文学部教授を経て現在日本福祉大学知多半島総合研究所顧問、愛知県史編さん委員会近世史部会長。
主な著書:『一茶の時代』(校倉書房、1998年)、『近世尾張藩の海村と海運』(校倉書房、1997年)、『大系日本の歴史J 近代の予兆』(小学館、1989年)、『深読み浮世風呂』(小学館、2003年)、『近世非領国地域の民衆運動と郡中議定』(ゆまに書房、2004年)
行政の取り組み紹介 近藤文男(こんどう・ふみお)
1956年生まれ。愛知県農林水産部農林基盤担当局農地計画課課長補佐。
著書・論文:『知多半島のため池の歴史・現状・多面的機能』、『大規模
地震時における農業水利施設の利活用について』
本県では平成19年3月に愛知県ため池保全構想を策定しました。現在、この構想に基づき、ため池を地域のたからとして未来に伝えるべく、行政と地域が連携して保全するための具体的な取り組みを進めています。
行政の取り組み紹介 若山秀夫(わかやま・ひでお)
1948年生まれ。名古屋市緑政土木局河川部河川計画課技師。
著書・論文:『市内河川・ため池等の水質の変遷』、『中川運河の川底が見えたら、堀川・新堀川がきれいになった』ほか。
名古屋市の中心部を流れる「中川運河・堀川・新堀川」の浄化を始め、名古屋市内の河川・ため池の水質浄化手法の確立。
第1分科会 河合克己(かわい・かつみ)
1934年生まれ。半田市文化財専門委員会 委員長。
著書・論文:「知多半島歴史読本」(新葉館出版)、「昔話の中のため池−愛知県の場合−」(「知多半島の歴史と現在 14号」日本福祉大学知多半島研究所)
愛知県内の『雨乞い』について、三河の一部を除いて資料の収集を終わりました。ライフワーク『愛知用水通水前の知多半島のため池潅漑研究』に関連して、『ため池分布の地域性』と『知多のマンボ』について調査、分析中です。
第2分科会 大沼淳一(おおぬま・じゅんいち)
1944年生まれ。ため池の自然研究会幹事、NPO法人「みたけ・500万人の木曽川水トラスト」監事。
著書・論文:「ため池と水田の生き物図鑑・動物編」(共著)、「入鹿池の水の華−発生原因と水質管理方法に関する考察−」
入鹿池の赤潮発生原因究明と対策のための調査研究に関わって20年。次々と消滅するため池をひとつでも多く守りたい。ため池・里山生態系として、あるいは、ため池群としての保護保全を視野に入れながら。
第3分科会 土山ふみ(つちやま・ふみ)
1948年生まれ。名古屋市環境科学研究所水質部 主任研究員。
著書:『ため池の自然−生き物たちと風景』、『都市の中に生きた水辺を』、『日本の水環境4東海・北陸編』
都市の水域(河川・水路・ため池等)の保全と再生に役立つ科学的知見を得るための調査研究を行っている。水域の総合指標とも呼べる『水の風景』の『保全』に興味を持っている。
第4分科会 矢部 隆(やべ・たかし)
1963年生まれ。愛知学泉大学コミュニティ政策学部 教授。
著書:『動物たちの気になる行動(2) 恋愛・コミュニケーション篇』(共著、裳華房)、『育てて、しらべる 日本の生きものずかん6 カメ』(監修、集英社)、『今、絶滅の恐れがある水辺の生き物たち』(共著、山と渓谷社)他
カメが大好きで、現在ではニホンイシガメ、クサガメ、ヤエヤマイシガメなど淡水生カメ類の生態、行動、進化、保全について調査、研究しています。最近では、ミシシッピアカミミガメ、カミツキガメ、ワニガメといった外来カメ類への対応に追われています。

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