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4回研究会2004年8月27日) 

話題提供要旨と簡易議事録

話題提供 1 2 3

 話題提供1

荒川流域における青の革命と学術への期待

NPO法人自然環境復元協会/NPO法人荒川流域ネットワーク 木内勝司

発表スライド発表資料(ともにPDF形式)

「人と自然の共存・共生」をテーマとしてさまざまな活動している。NPO法人荒川流域ネットワークは1995年に埼玉県内の荒川流域の市民団体をネットワークする組織として発足し、5つのミッション(@母なる荒川に清流を、Aあなたの家も水源地、B絶滅危惧種ミズガキ復活、C木遣い文化の再生、Dエコ・プライドを持って流域経営・国土保全)を掲げ、水質一斉調査、リバーレンジャー活動、自然観察会、シンポジウム、エコツアーイベントなどを行っている。第3回世界水フォーラムに参加し、その流れを荒川にということで、「荒川水フォーラム2003」を開催した。今後の自然再生活動と学術への期待として、@メンバーの知識の向上、意識改革、A流域の実態についての科学的知見や情報、データの蓄積、B大学等の研究機関や専門家、行政との協働活動を通じて、組織経営やマネージメント能力を高めていく必要があると考えている。 

 

話題提供2

桂川・相模川流域における青の革命と学術への期待

桂川・相模川流域協議会 河西悦子

1 桂川・相模川流域協議会の発足とその経過

  ○山梨・神奈川両県の3年間に渡る環境省の補助事業を発端とする。   市民・事業者・行政3者が対等の立場で桂川・相模川の流域環境保全に取り組むため「アジェンダ21桂川・相模川」を策定しそれを推進していくことを目的として1998年に発足。

   5つの基本理念を掲げ、「アジェンダ専門部会」「森づくり専門部会」・クリーンキャンペーン・上下流交流事業・シンポジウム・ツアー&ウォッチング

   ・環境調査事業、今年度から森づくり事業・流域データーベース化に取り組む。

 2 協議会の課題

  ○市民・事業者・行政が1つの組織として一体になって取り組む活動の限界と可能性

  ○流域という広いエリアでの活動ーーー地域協議会の充実

  ○水環境の総合的な取り組みとして位置づけてあること

 3 青の革命と学術への期待

  ○流域の実態把握、そのためのきめ細かな調査

  ○流域の環境課題のチェック、科学的データーを裏づけとしてその課題解決に向けての行動への取り組み

  ○市民に知ってほしい情報・知識を分かりやすく伝えるための学術との協働

    流域単位の連携を核として水利権の見直し、新たな水利の秩序の構築 

 

話題提供3

伝統的水利秩序と青の革命の接点

筑波大学大学院生命環境科学研究科 坪井伸広

発表スライドPDF形式)

1.研究の関心

資源配分における市場の限界を前提にした、資源最適配分のための新たな論理の構築。

2.当面の研究課題

「国内水稲作付面積の減少にともなう農業用水の再編方向の解明」

水稲作付面積のピークは1969年の317haで、2000年には176haに減少している。現行の農業用水施設は水田面積約344ha1969年)を前提にしたもので、用水使用量は1975570億立方米、1998586億立方米で、水稲作付面積の減少にもかかわらず用水使用量は増加した。国産米消費量のさらなる減少が想定されるとき、現在の農業用水施設の維持は、国産米コストを上昇させ国際競争力を弱めるので、農業用水の再編は不可欠である。地域用水委員会の設立、用水情報の共有化、農業用水の減量などが課題となっている。

3.伝統的水利秩序と青の革命の接点

伝統的な水利秩序はむら間、地域(むら)間、地域連合間、むら人と地域と藩・幕府との社会的緊張関係のもとで形成、維持されてきた。西欧近代諸制度の導入、近代土木技術による水源開発がこの緊張関係を崩壊させた。農業用水の再編は関係者間の新たな緊張関係の構築すなわち水利ガバナンスの再構築によって実現されるのであろう。

 

■最終討議

・ 担い手減のため,水管理で出来ず,単位水田面積あたり水使用量は昔より大きい.

    農家が用水路を返す,という選択.

    趣味的農業の可能性は?

    農業用水>都市用水への事例の一部はヤミ転用? 国土交通法「水は公のものなので売り買いはご法度」

    農水省が再編をすると,(米作りの上で)非効率な部分を抱えたまま残すのでは,という懸念.

    日本農業の安楽死.

    「青の革命」という言葉の是非について.「青の革命」は意味がわかりにくい,養殖の分野でも使われている,一般には広まらないのではないか,というご意見があったため,プロジェクトタイトルの是非について議論.代替案として「流域圏革命」はどうか?>『青の革命』がメインタイトルで,『流域圏革命』はサブタイトルのようにするとよいのではないか.

 


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©2004. Research Project on Global Governance of Water.