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これまでの研究会の記録

・第5回研究会2004年11月19日(金)                       第6回研究会の記録へ

 第5回「青の革命と水のガバナンス」研究グループ研究会

日時: 平成161119日(金) 13:3018:00

場所: 独立行政法人日本学術振興会 麹町事務室会議室(ヤマトビル4階)
     
地図など

参加者(順不同):

坪井伸広

筑波大

まさのあつこ

ジャーナリスト

高橋ユリカ

ライター

中庭光彦

ミツカン水の文化センター

中村敏一

国土交通省国土政策技術総合研究所

深見和彦

(独)土木研究所

佐久間信弥

東京海洋大

黒瀬総一郎

東京海洋大

金治佑

東京海洋大

金子学

(株)建設技術研究所

伊藤一正

(株)建設技術研究所

内藤悟

北海道大・北海道庁

五名美江

東大愛知演習林

木内勝司

NPO法人自然環境復元協会/NPO法人荒川流域ネットワーク

本永良樹

(財)リバーフロント整備センター

蔵治光一郎

東大愛知演習林

話題提供者:

 

「心理科学・保健医療行動科学の視点に基づく合併新市ビジョン及び建設計画の策定−新潟県長岡地域の合併を例として−」

金子 学 (建設技術研究所 国土文化研究所) 発表資料(.ppt形式)

「いま、なぜ河川法再改正か」

まさのあつこ(ジャーナリスト) 発表資料(.ppt形式)

議事1:

「心理科学・保健医療行動科学の視点に基づく合併新市ビジョン及び建設計画の策定−新潟県長岡地域の合併を例として−」

金子 学(建設技術研究所国土文化研究所)

 

<はじめに>

・「市町村の合併協議を最も困難にしている点は、たった今(現代社会)を乗り切る上での財政や行政の方法論、技術論だけに傾倒した議論が多いためではないか」という課題の認識から、”社会・地域人格の保健行動”としての市町村合併業務事例をご紹介する。

・具体的には、新潟県長岡地域合併に伴う新市の将来構想及び建設計画の策定支援内容とそれに用いた考え方をご紹介する。

 

<発表の要点>

・自分個人の人生にいろいろなことがあった。生きていくビジョンをなくし、生きている意味がないと思った。その経験を仕事に生かした。

・市町村合併は内発的行動でなく手段、方法であるというのが総務省の見解。まず理由があるのではなく、作りたいものが先にあって理由が後付される。マイノリティの意見が汲み上げられない。

・不確実性の時代の計画、色あせない計画、要素還元でなく、全体構成主義で。人を説得する計画から、人が共感する計画へ。

結果でなく過程が重要な計画論。

地域を人格と捉える。

<質疑>

合意形成はいかに?――個人の人格と地域の人格は違うのでは。総論賛成、各論反対になりがちな状況で、合意形成はどうなったか?

・計画作りにどのような人が参加したか。

合併は前提だったか? → 法定でなく任意の協議会で構想を作った。現在は、もっと大きい規模での合併が模索されている。

災害危険地域回避という発想の必要性・必然性――歴史が浅く、科学的にみて危険すぎる場所には住まないという発想も必要では?

迷惑施設の受け入れ――ダム原発のような迷惑施設を受け入れるかどうかは、地域エゴの世界。予算的、物理的制約が大きい場合にも適用可能か?

 

議事2:

「いま、なぜ河川法再改正か」

まさのあつこ(ジャーナリスト)

 

<はじめに>

・1997年、河川法改正によって、河川行政には「環境保全」「住民参加」の理念が導入された。その実態はどうか。旧から新河川法体制への移行状況を量的、質的に整理する。一級河川109水系二級河川2700水系について、河川整備方針河川整備計画の二段階それぞれで、どのような問題が生じているかを概観する。特に、住民参加の一種とみられがちな「流域委員会」の実態については、整理、分析、軌道修正が必要である。こうした現実を踏まえ、現行法の限界を見極め、再改正のポイントを示す

・また、改正がなされるまでもなく何がなされるべきかを検討、その他、総合的な政策オプションを市民団体から示されている提言も含めて示す。

<発表の要点>

長野の脱ダム宣言が注目されているが、実は、より画期的なのは、2000年に中止された鳥取の中部ダムで、ダム中止後の地域振興策まで伴っていたこと。

・河川法改正後7年で基本計画を策定した1級河川は10分の1程度、あとは経過措置。

・1級河川29水系のうち4水系で基本高水を大きくした。

・基本計画について、必要があると認めるときのみ、学識経験者と公聴会の意見を聞く。学識経験者はどうにでも選べるし、公聴会はどんな形式でもできる。

流域委員会とは何か。設定方法に4パターンある。委員が公募されているのは1級河川14水系のみ、中部、近畿、九州

・実現不可能な基本高水は飾りになりつつあり、それぞれの河川の状況に合わせた現実的な数値が採用されている。

・徳山ダムは、工事実施基本計画とは異なる治水計画で進められている。

・方針→計画(トップダウン)でなく、計画→方針(ボトムアップ)にすべき。基本高水の決定権を地方に委譲。経過措置に期限を設ける。河川砂防技術基準は廃止すべき。

<質疑>

理念と実情の乖離――河川法改正の理念は、方針(基本高水)は飾りで、基本計画で実情に合わせた計画を住民参加で作ってくださいというのが趣旨だった。そのように運用されていないとすれば問題。

住民間での利害対立――住民の間にも利害の対立がある。それをどう調整するか。

広い視点・知識の必要性――学識経験者として細分化、蛸壺化した学問分野の専門家が狭い見識から意見を述べられても役に立たない。

民主化成功地域の評価――中部、近畿、九州のような「民主化」が進んでいるところを評価すべき。「青の革命」グループで流域委員会を評価するという構想。


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