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これまでの研究会の記録

・第3回研究会2004年5月29日の記録

Schedule
高橋ユリカさんの報告 第4回研究会の記録へ

青の革命と水ガバナンス第3回研究会
2004年5月29日(金)13:00−18:00

内容:出席者自己紹介


趣旨説明 蔵治光一郎(東大愛知演習林)

話題提供
1.岡村一良(物部川の明日を考えるチーム)
「物部川の明日を考える」
2.川中麻衣(高知大学大学院人文社会科学研究科)
「河川渇水問題と慣行水利権 高知県物部川における流域保全活動」
3.那須清吾(高知工科大学)
「森林の質と機能、緑のダム」
4.村上雅博(高知工科大学)
「高知県吉野川水系汗見川ダム水利権更新とダム撤去および森林管理基金について」
「高知県四万十川水系家路川ダム水利権更新とダム撤去および生態環境(アユ)問題について」

会場:高知工科大学内

出席者:
 村上 雅博 高知工科大学工学部
 那須 清吾 高知工科大学工学部
 新保 輝幸 高知大学大学院黒潮圏海洋科学研究科流域圏環境科学講座環境変動・社会分野
 飯國 芳明 高知大学大学院黒潮圏海洋科学研究科流域圏環境科学講座環境変動・社会分野 
 松本 充郎 高知大学人文学部社会経済学科 
 川中 麻衣 高知大学大学院人文社会科学研究科飯國芳明研究室
 橋尾 直和 高知女子大学文化学部文化学科日本語・日本文化コース
 杉浦 未希子 東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学国際環境協力コース
 溝渕 卓生 高知県企画振興部企画調整課物部川の明日を考えるチーム
 岡村 一良 高知県企画振興部企画調整課物部川の明日を考えるチーム
 西森 基貴 独立行政法人農業環境技術研究所地球環境食料生産予測チーム 
 神谷 昌岳 社団法人雨水貯留浸透技術協会技術第二部
 吉川 勝秀 財団法人リバーフロント整備センター
 石川 妙子 水生生物研究家
 伊藤 一正 (株)建築技術研究所
 高橋 ユリカ ライター
 蔵治 光一郎 東京大学愛知演習林

議事:
<話題提供1、2>
物部川=県内だけを流れる川では最長
流域人口4万人、7市町村
渇水流量が極端に少ない。正常維持流量は設定されていない。
農業用水の水利権が極端に多い。上流ダム責任放流量から水利権を差し引くとゼロになる。
灌漑面積3,500ha
ダムが多い。杉田ダム=1級河川で河口から最も近いダム
冬は渇水で、瀬切れ、河口閉塞(断流)が起こる(昨年30日以上)。重機を入れて土砂を排出する。
市民の利用は、釣りが多い。1kmあたり1万人/年。
今年は200万匹遡上、昨年は100万、漁協の努力が実を結んだのかも。
「21世紀森と水の会」水づくり、森づくりは共通の目標としている。

<主な質疑応答・コメント>
・ダムができる前も水はなかったのか。→水の出方が早くなった。
・もともと自然現象として渇水流量が少ないのか、それとも人為的影響か。
・流域の漁業、農業、工業の経済規模は。
・洪水被害は。
・そもそも、どういう川にしたいのか。→水量、水質、地域活性化がキーワード
・何が問題なのか。問題の原因は何か。→現状がわからないので答えられない。
・ダムが出来て、水争いがなくなった。
・コミュニティがなくなったことが問題。コミュニティの再生。
・四万十川と物部川は対照的。比較すると面白い?
・漁獲量のデータは、最近10年間はある。その前は、はっきりしたものはないかも。

<話題提供3>
国土交通省事務所として兵庫県揖保川、加古川の流域委員会を主導し、緑のダムについて勉強した。
揖保川では緑のダムに期待できないことを説明し、委員会でも納得してもらった。
戦前は、1500本/ha程度で植えていたが、現在は3500本/haである。これを減らせばいいのでは?

<話題提供4>
吉野川上流の汗見川ダム(電源開発)撤去問題、1999年
流量は減少傾向。
ダムは50年前にできたが、アユが減ったのはここ10−20年。
いろいろな原因がありうる。ひとつの可能性として海水温の上昇。
アユは高温に弱い。海で越冬する。落ちアユは昔11月、今は12月。産卵が遅くなった。

<主な質疑応答・コメント>
・森林環境税 1.5億(たいした額ではない)、1人500円、5年間で1500haしか間伐できない。
・森林・林業基本法で、水土保全林という区分ができ、下流のための森林という位置づけが明確になったので、下流から税を取ってもいいと考えた。
・森林環境税は目的税でなく、普通税。受益と負担が必ずしも明確でない。
・お金を出す代わりに制約すべきではないか。→現状は、10年間皆抜をしないという制限をかけている。
・間伐の遅れと水量の減少+水の出方が変わったことに因果関係はあるのか?地元の人は実感としてしゃべる。
・川の水を増やしたいとき、自然と山に気持ちが向く。
・川の水の減少に他の原因(降水量の減少、棚田の減少など)はないか。
・昔は山の木が水を消費していなかった。今は消費しているのではないか。
・昔の写真を見ると山に木がない。川には水がある。
・揖保川上流の引原ダムには土砂がない。上流は天然林
・植栽密度は下刈りコストとの関係で決まっているので、林業経営上は植栽密度を減らすと赤字が増える。


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©2004. Research Project on Global Governance of Water.