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    エゾシカライトセンサス10年の歩み

 北海道ではエゾシカにより農林業被害が発生しています。 演習林のある富良野市では、年間7千万円を超える農業被害の一方で森林被害は幸い顕著ではありませんが、道内には深刻な森林被害を受けている地域もあります。 こうした被害の発生を予測し、被害が発生した場合に迅速な対策を講じるためには、普段からエゾシカの生息密度や生態を把握しておくことが必要です。
 北海道演習林では、2007年から毎年11月の連続した3夜に、演習林内(以下、森林)と演習林に隣接する農地(以下、農地)でライトセンサスを実施しています。 ライトセンサスとは、設定したコース上を低速で走行する車両からライトを照射し、発見した動物の頭数、構成(幼獣、雄、雌)、利用環境等を記録する調査のことです。 当初は森林4コース、農地5コースでしたが、2010年以降は北海道が実施するセンサスコースと重複することなどから、森林3コース、農地2コースに規模を縮小して継続しています。
 10年間の結果として、10kmあたりの平均目撃頭数の推移を振り返ってみましょう(図)。 森林では平均目撃頭数が20頭以下で安定的に推移していますが、農地では高い年で90頭、低い年で10頭以下と、不規則かつ大幅に変動しています。 平均目撃頭数が20頭/10km未満は低密度地域、20〜100頭/10kmは中密度地域とされることから*、森林では低密度で安定している一方で、農地では低〜中密度で大きく変動していると考えられます。 農地ではなにが起きているのでしょうか。 変動の要因として、狩猟による捕獲圧や、調査時の天候の影響などが考えられますが、明確な答えはわかっていません。 今後も調査を継続することで、エゾシカのみぞ知るその答えに、辿り着けるかもしれません。

*梶光一ほか(2006)「エゾシカの保全と管理」北海道大学出版会.

Oikawa,N. Fukui,D.


図.森林と農地別の10kmあたりの平均目撃頭数

引用:科学の森ニュース(The University of Tokyo Forests News)第77号


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