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    2012年度 エゾシカライトセンサス

 エゾシカは北海道を代表する大型の哺乳動物です。 明治時代の乱獲と豪雪によって一時は絶滅の危機に瀕していましたが、近年、その個体数は増加傾向にあり、道内の生息数は約65万頭と推測されています。 増加に転じている背景には、天敵がいない、暖冬により豪雪が少ない、越冬地となる人工林が増えているなどの要因が挙げられています。 個体数の増加に伴って、自然植生の採食や踏みつけ、ロードキルの問題が起きており、特に農業被害は2011年度の被害総額が62億円を超えるなど、深刻な状況を呈しています。 北海道演習林(以下、演習林)がある富良野市もその被害は甚大です。 現在、森林や林業への被害は軽微なものに止まっていますが、いつ大きな被害が生まれるかわかりません。 農林生態系にとって大きな脅威となりつつあるエゾシカに対して適切な対策を講じるためには、エゾシカの生態についてよく知っていなければなりません。

 そこで、北海道演習林ではエゾシカの生態と密度変動を明らかにし、保護管理に資することを目的として、2007年からライトセンサスを実施しています。 ライトセンサスとは連続する3日間の日没後に、設定したコース上を10-20km/hで走行する車両からスポットライトを照射しエゾシカの個体数を数える調査のことです。 今年も11月14日(水)から16日(金)までの3日間、演習林内の3コースと演習林に隣接する農地の2コースにおいて、調査を実施しました。 その結果、総目撃頭数は昨年の2/3以下の192頭で、その半数が雌でした。 林内と農地では、農地で29.0頭/10km・日であったのに対し、林内では11.6頭/10km・日と農地の半数以下の目撃頭数となりましたが、農地に面している部分では目撃頭数が多い場所もありました。 また、農地コースではヒグマやエゾユキウサギなどの多様な野生動物が出現しました。 普段目にする機会の少ない夜の野生動物たちは一段と精悍な顔つきをしていました。

 エゾシカをはじめとする野生動物と人とが上手く付き合うためにも、今後もライトセンサスを継続して、彼らの声なき声を聞き漏らすことの無いようにしてゆかなければなりません。

Oikawa,N. Sakaue,D.


エゾシカの親子

振り返るフクロウ


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