第22回個体群シンポジウム アンケート結果
生物多様性と個体群生態学:侵入生物と人的攪乱が生物多様性に及ぼす影響
Biodiversity
and population ecology:
Spreads of invasive species and
influences of human disturbance on biodiversity
平成17年10月28日(金)〜10月30日(日)
片山津温泉 ホテルながやま
2005年12月9日にシンポジウム参加者の皆様に、アンケートをメールで依頼しました。その結果、14名から回答をいただきました。結果的に、全員会員からの回答で、非会員からアンケートに回答いただくことができませんでした。アンケートを会期中に行うべきだったと、主催者として反省しております。
しかしながら、皆様からいただいたご意見には、個体群生態学会やシンポジウムの今後のあり方に対する、多くのメッセージが含まれています。今後の運営に役に立てばと思い、事務局で整理したものを以下に掲載します。なお、一部の文章につきましては、回答者の意図が違わないように、事務局の責任で字句等を変更させていただきましたことをお断り申し上げます。
1.シンポジウム全体について
a.時期
・ちょうどよい(会員・学生)×5(会員・一般)×8
・誰にもちょうど良い時期はないでしょう。(会員・一般)×1
b.期間(2泊3日)
・ちょうどよい(会員・学生)×5(会員・一般)×8
・1泊2日がよい(会員・一般)×1
c.英語で行うことについて
・よい(会員・学生)×2(会員・一般)×4
・日本語にするべき(会員・学生)×2(会員・一般)×3
・質疑応答のみ日本語で(会員・学生)×1(会員・一般)×2
d.具体的なご意見をお願いします
・英語で行うこと自体には賛成です。英語に不慣れな学生さんにとっても突然国際学会に参加するよりは、気が楽でかつよい経験になると思うからです。・運営の方の負担を無視すれば、今回のような日本語訳スライドはよい案かと思います。噂で、2つ目のシンポの日本人演者は英語講演ということが知らされていなかったと聞きました。個体群の会員には英語シンポが常識ではありますが、非会員の招待講演者には知り得ない情報です。もし事実であれば、準備不足の発表は聴衆にとっても、そして何よりせっかくご足労いただいた講演者の方にとっても心苦しいものとなるのでこのような事態は避けていただきたいと思いました。(会員・一般)
・私が英語を使えないから、日本語のほうがよかったのですが、講演または、要旨のどちらかは、日本語にしてほしかったです。また、何人か発音のよい方はおられましたが、日本人の英語は聞き辛かったです。(会員・学生)
・国際学会と国内学会の垣根を崩す意味で、公用語を英語にする姿勢は重要だと思います。しかし、自分の現時点での英語能力を考えれば、日本語でシンポジウムを聞くほうが、はるかに身につきます。ということで、日本語にするべき、とは思わないが、日本語の方が、シンポをより楽しめると思う。
・質疑応答では、質問者の日本語での質問の後、司会者が全員に向けて(外国人用に)要約して英訳するのがよいと思います。質問者の質問は言葉数が多くても、大抵は最後に一言で質問できる内容であるものだからです。(会員・一般)
・質疑は日本語でも「可」としては?ややこしくなったら日本語で議論するくらいは外人さんもしょうがないと認めるでしょう。近くにいる人が説明してやればよい。(会員・一般)
・他にも適当な時期があるかもしれませんが、無理をして変える必要はないと思います。泊まり込みにするなら2泊程度がいいのではないかと思います。日本語を話せない人がある程度以上参加されるなら英語を公式言語にしたほうがいいと思います。もし、今の形式のシンポジウムを見直そうということであれば、「個体群シンポの企画を公募してみる(テーマ?)」という試みはいかがでしょうか。もし、誰からも提案がなければ、やめてしまえばいいのではないかとさえ思ったりします。泊まり込み+海外からの招待講演者という形式にかわる、何か別の形式を考えてもいいかもしれません。具体案は思い浮かびませんが。(会員・一般)
・私は英語があまりできないもので(^^;)。(会員・一般)
・外国人の招待講演者に考慮して,PPTの英語での併記をすれば日本語でもいいのではないかと思います。完全に英語ですると,参加者が減ってしまうことを懸念します。(会員・一般)
・口頭発表時の、日本語版プレゼンファイルの中には、日本語が理解しにくいものが時折見られました。(会員・学生)
・外来種のセッションでは日本語版スライドも合わせて表示されていましたが、あれはよいアイデアだと思いました。英語は必要だと思いますが、英語がわからなかったときでも議論からおいて行かれないのはもっと必要なことだと思うので。(会員・一般)
2.以前のシンポジウムでスケジュールがタイトすぎるという意見があったので、今回はセッション講演の時間を短くし、ポスターを期間中張り付けられるようにしたうえで、ポスター会場にテーブルとイスをセットして、参加者の間で討論のしやすい雰囲気と時間を作ることに工夫してみました。これらに対して、ご意見をいただきたいと思います。
・スケジュールはタイトではありませんでした。ポスターの前で発表者と討論することが中心で、討論そして他の目的にテーブルと椅子を使いませんでした。ポスターとポスターとに間隔があったおかげで、ポスターの前に多くの人たちが立っていても、聞いてもらえたと思います。部屋の角に近いところに貼ったポスターは、その分スペースが狭いために読みにくい思いをしました。期間中張り出したおかげで、ポスター発表以外の時間に他のポスターを見ることができたので、良かったと思います。お茶や水が自由に飲めたことは、良かったと思います。(会員・学生)
・討論しやすくよかったが、演者がつかまらないポスターも少なくなかった。(会員・一般)
・討論がとてもしやすかったので、大変よかったと思います。飲み物が用意されていたのも、大変有難かったです。(会員・一般)
・ポスターは日本語で、長い期間張ってあったので、たくさんの人のポスターをみることができてよかったです。(会員・学生)
・テーブルとイスは、休憩場として十分に機能していた。ポスター会場としてよかった点は、会場のひろさ。ただ、ポスター間の距離はあまりなかったので、コアタイムのとき、隣に気を遣った。ポスター間にポスター一枚分くらいのスペースがあるといいなと思った。(会員・学生)
・大変に優れた有効な時間配分でした。非常に参考になりました。(会員・一般)
・量的にはこれでよい。(会員・一般)
・ポスターの時間が長かったのはとてもよいと思いました。ポスターを題材に、泊まりこみならではの深い議論ができたと思います。(会員・一般)
・利用させていただきました。くつろげてよかったと思います。(会員・学生)
・セッションの時間やポスター張りっぱなしというのは非常によかったです。おかげで非常に多くの人にポスター発表することができたのではないかと思います(特にアピールすべき学生が)。(会員・学生)
・ポスター会場がたいへん良かったです。(会員・一般)
・ポスター発表については、スケジュールもゆったりとしていて、部屋の広さも十分にあり、テーブルとイスが用意されていたのはよかったと思います。(会員・一般)
・前回よりはポスターに人が多く集まってよかったと思います。(会員・一般)
・情報交換の場として利用させて頂きました。今後もこのような形式であればと思います。(会員・学生)
・ポスターセッションの時間は確かに長かったですが、長すぎるという印象はありませんでした。十分に議論の時間がもて、良かったと思います。(会員・一般)
3.会費・会場・食事・懇親会・夜の飲み会についてご意見をお願いします。
・会費について会費は安ければ安いほどよいと思います。しかし、相場もあると思いますので、今回は結構でした。会場について24時間入浴できたので、文句はありません。部屋も快適でした。食事について生協の食事より豪勢だったので、文句はありません。朝食は特に豪勢でした。懇親会についてメニューについて、エビの揚げ物が大量に残ったようですが、油ものより鍋を中心にした方が良かったのでは?夜の飲み会について0時で終了は少し早いと思いました。各部屋では1人でも寝てしまうと、その部屋で夜の飲み会の2次会を行うのは難しいでしょう。そこで、午前3時くらいまでどこか1部屋を開けるか、ホテルのロビーを使うのはどうでしょう。ホテルに場所がなければ、ホテルを出て、深夜営業の店で議論を薦めるのも一案かと思います。(会員・学生)
・会費は高い。食事は量が多すぎた。(会員・一般)
・特にありません。適当だったと思います。夜の飲み会(こそ?)は、個体群シンポの醍醐味だと思うので今後も是非残していただきたいと思いました。通常の学会形式よりも、みなで同じ宿泊施設に泊まる方が議論の輪が時間的、空間的に広がって非常に刺激的なものになると思うので。(会員・一般)
・お酒がいっぱいあり、ゆっくりできたのでたくさんの方の話も聞けよかったです。(会員・学生)
・会費の値段についてはよく分かりません。会場はちょうどいい大きさだった。しかし、食事は種類が多いだけで美味しくなかった(せっかく海の幸と酒にめぐまれた石川県で開催されたのに)。懇親会・夜の飲み会は楽しかった。(会員・学生)
・申し分ありません。初めて参加した人たち全員が自己紹介する慣習をつくるともっと開かれた学会の雰囲気がつくれると思います。(なぜなら昔からの会員があまりにツーカーで座を囲むので、たとえば、わたしが同室した初めての参加者2人は、誰も意図しないけれども結果として、見るからに疎外されていました。)(会員・一般)
・とてもよかったと思います。(会員・一般)
・食事などは、良い雰囲気で楽しめました。懇親会・飲み会も、交流や意見をかわしたりする場としてはよかったと思います。(会員・学生)
・会費・会場・食事・懇親会・夜の飲み会ともに、よかったです。(会員・学生)
・1日目の夕食時に前の人と距離が離れていて話ができなかったのは残念…。食事の内容とかは,非常に良かったです。(会員・一般)
・会費は、誰でも気軽に参加できるのにちょうどいい金額だったと思います。会場はバス停から少し離れていましたが迷うことなく来れました。楽しみにしていたお風呂もよかったです。初日の夕食は到着が遅くなってしまったためにキャンセルしてしまいましたのでわかりませんが、懇親会はおいしかったです(甘エビの唐揚げにはビックリしてしまいました)。夜の飲み会については、夜12:00まで部屋を使わせていただけたので、ゆっくりと話ができたと思います。(会員・一般)
・夜の飲み会は広い場所に一カ所で飲めてとてもよかったです。それ以外もまあよかったです。(会員・一般)
・コストパフォーマンスが良かったです。(会員・学生)
・懇親会は立食形式の方が多くの人と話しやすいと思いました。(会員・一般)
6.セッションのテーマ設定・講演の内容とわかりやすさについて。
・(外来種)テーマ設定については、外来種の移動分散過程に注目した点は一貫していました。もっとも、個体群生態学に限らず、生態学の未解決問題を外来種を用いて研究する利点を主張すると良いと思います。講演の内容もわかりやすさも、勉強になりました。(保全生物学)人為的生息地改変の個体群への影響と管理をテーマにしたのは一貫していました。講演の内容もわかりやすさも、勉強になりました。(会員・学生)
・(保全生物学)保全はホットな分野なので個体群シンポで取り上げたのはよかった。しかし、その中でも議題が多岐にわたっていたため、議論しにくかった様子だった。共通に議論できる土台になる問題設定があると議論しやすかったのでは。コメンテーターのような講演を最初にもってくるとか。(会員・一般)
・(外来種)大変有意義な時間をすごせました。分かりやすかったです。(保全生物学)テーマと公演内容がかならずしも一致していないように思えました。似た内容が多かったように思えたのですが、生意気を言わせていただくと、データの質・量のバランスをもう少し考慮して講演者を選んでいただければと思いました。(会員・学生)
・(外来種)可知さんの発表は分かりやすいスライドで、おもしろかった。(保全生物学)富松さんの発表は興味深かった。(会員・学生)
・(外来種)大変に勉強になりました。(保全生物学)なかなか落ち着いて聞く機会のない内容の講演を聴けてよかったです。(会員・一般)
・(外来種)もっと個体群らしい扱いをしてほしい講演があった。(保全生物学)講演者の準備がたりない発表がいくつかあった。(会員・一般)
・(外来種)よかったと思います。私には、いろいろと勉強になることがありました。ただ、保全生物学への回答とも関連しますが、もう少し、議論が盛り上がるようにしむけるようなタイトルにしてはいかがかと思いました。(保全生物学)保全生物学という漠然と広い話題ではなくて、さらに絞り込んだ話題にしてもよかったのかなと思いました。たとえば、「里山」に関連させるテーマに絞り(事実上はそうなっているように思いましたが)、「里山は守るべき生態系か?」といった論争をあおるようなテーマ設定がおもしろいと思いました。(会員・一般)
・セッション1・2ともに応用的なテーマだったと思います。(外来種)外来種については基礎的な研究発表にとどめておけたような感じだったのでよかったと思います。良し悪しや対策まで発展してしまうと、科学としての領域を超えてしまいますので。(保全生物学)里山の保全は難しい問題だと思います。発表内容としては良かったです。二次的な自然をどうして保全しなくてはいけないのか、ただ種多様性が大きいからだけなのか、その意義のようなものまで議論できれば良かったと思います。(会員・学生)
・(外来種)Liebholdさん以外はあまり覚えていません。原稿を読みながら発表してい人は聞く気がしません。(保全生物学)覚えていません。(会員・一般)
・(外来種)最後の方は聞いている方が疲れてくるので,招待講演者の講演は最初の方にまとめた方がよかったかもしれません。(保全生物学)セッション1と同様に日本語のスライドがあった方がよかったでした。準備は大変だとは思いますが…。
・(外来種)理論とデータの話がバランスよく配置されていて、わかりやかったと思います。講演者も著名な方ばかりを集められていたのも、聴衆にとっては大きな魅力でした。(保全生物学)セッション1に比べて、いまひとつインパクトが弱かったような気がしましたが、聴衆としての私の興味の持ち方が原因だとも思います。(会員・一般)
・(外来種)トピックとしてはおもしろかったが、生態学としてのおもしろさはあまりなかったと思います。セッション2よりはおもしろかったけど。(保全生物学)テーマの設定はともかく発表内容はあまりおもしろくありませんでした。個体群生態学とのつながり(関わり)も一番目の演者以外はなかったような気がします)(会員・一般)
・(外来種)わかりやすかったと思います。(保全生物学)個体群生物学との関連を重視した点が興味深かったです。(会員・学生)
・(外来種)社会的な関心が集まっているテーマについて、一般とは異なったアカデミックな視点から議論を進めるのは有意義なことだと思いました。また、演者の方の研究内容も刺激的でしたし、勉強にもなりました。(保全生物学)アカデミックな刺激を受けた講演もありましたが、外来生物のセッションに比べると割合オーソドックスな、「いかにも保全生態学」らしい内容が多かったように思いました。おそらくその生物を保全する上では有用な情報なのでしょうが、今回のメインの聴衆(既に生態学をやってはいるが保全生態学をやってはいない人)を相手に話すなら、もう少し一般化されたメッセージが欲しいと感じました。(会員・一般)
8.その他、気が付いた点を何でもお書きください。
・日生態や応動昆の小集会で話される内容と個体群のシンポのそれとどこが違うのか、よく分かりませんでした。もしかしたら、個々の発表の中身よりむしろそれらの組み合わせに個体群シンポの特徴を出そうとしているのでしょうか。そうならば、他の学会ではできない発表者を組み合わせる、あるいは他の学会ではできない話題を提供するといったところが個体群のシンポを盛り上げていく上で重要かと思いました。(会員・学生)
・セッション1で、日本語スライドを併写していただいたことは、英語についていけない人間にとって、非常に有効だった。(会員・学生)
・眺めのよい露天風呂がよかったです。(会員・一般)
・話題性はあるが、研究水準としては、いまいちのテーマ選びだったかも知れません。個体群シンポもテーマ選びがだんだん難しくなってきました。(会員・一般)
・3日目のセッション2を設けるよりも、時間にゆとりをもたせて、テーマは一つだけにしてもいいのではないかと思いました。(会員・一般)
・アンケート回答を求める時期が遅いので、だいぶ忘れてしまっています。(会員・一般)
・セッションの要旨の中の「用語解説」の欄はわかりやすくてよかったと思います。もう少し詳しく書いて欲しいと思ったものもありましたが。(会員・一般)
以上。(文責:第22回個体群シンポ事務局 鎌田直人)