矢作川森の研究者グループ
Researchers Group of Yahagi River Watershed Forests


本ページの写真は2005年4月24日に足助で行われた森林の健康診断のリーダー研修の様子です。
撮影は芝村龍太さんです。


はじめに 〜矢作川森の研究者グループとは?〜

 矢作川流域圏の森林ボランティア6グループが結集して平成16年1月
に発足した矢作川水系森林ボランティア協議会(矢森協)は、ボラン
ティアでもできる方法で森の調査を行い、科学的にも意味のあるデータ
を集め、矢作川流域の人工林の現状と望ましい姿を考える企画として
森林(もり)の健康診断」を行うことになりました。

 この健康診断の方法について科学的な裏付けや指導・助言を行い、
集められたデータを分析して報告書を作成するために結成されたのが
「矢作川森の研究者グループ」です。「森林(もり)の健康診断」は、矢
森協、研究者グループ、実行委員会の3者が共同で主催することにし
ています。

 最近では、森林の健康診断と合わせて専門的な調査(精密診断)を
行うことにより、健康診断の結果と合わせてデータの学術的な価値を
さらに高めようという取り組みも始まっています。

矢作川流域の概要

 源流: 長野県中央アルプス南端 大川入山(1,908m)
 流域面積: 1,830km2
 長さ: 117km
 流域内人口: 約69万人 (H7河川現況調査)
 年間降水量: 1,400〜2,000mm
  (以上、国土交通省豊橋河川事務所より)

 矢作川流域圏は、1966年に矢作川沿岸水質保全対策協議会(矢水協)、
1978年に矢作川水源基金、1991年に矢作川流域振興交流機構(矢流振)
1994年に矢作川研究所、2004年に矢森協、2005年に伊勢・三河湾流域
ネットワーク
など、全国に先駆けて流域圏横断的ネットワーク化を進めて
きたことで有名な流域圏です。

 流域は愛知、岐阜、長野の3県にまたがっていますので、県境を越えた
連携が模索されています。例えば1991年に下流の愛知県安城市と上流の
長野県根羽村が結んだ分収育林契約は、同年4月森林法に新たに付け
加えられた「森林整備協定」に基づく全国初めての契約です。

矢作川流域森林の概要

 
矢作川上流域1,140km2のうち森林は990km2(87%)を占め、そのうち
59%が人工林です。もともと有名林業地ではなく人工林経営の歴史が浅
い矢作川上流域は、戦後、薪炭林であったところを拡大造林期スギ・ヒノ
キが植えられましたが、最近は間伐が遅れた人工林が目立っています。

 矢作川中上流域に位置する豊田市は、日本で初めて1994年から水道
料金の1トン1円の上乗せ徴収による水道水源保全基金の積立を開始し
ました。上流域の森林所有者と契約し、20年間公的管理を行う制度を作り、
そのための資金に下流域で集めた基金を使います。この地域は行政、市
民ともに森林問題に対する意識が高いことがわかります。

 豊田市は2005年4月に周辺6町村と合併して愛知県最大の市となり、
市面積の7割が森林となりました。森林をどう守り、生かすのか、行政、市民、
研究者、民間企業が知恵を寄せ合い、協働していくことが求められています。

メンバー
 <代表>
蔵治光一郎 東京大学愛知演習林・講師
洲崎 燈子 豊田市矢作川研究所・主任研究員

<メンバー>
間野 隆裕 豊田市矢作川研究所・総括研究員
木俣 知大 (社)国土緑化推進機構
島野 光司 信州大学理学部物質循環学科・助教授
瀧澤 嘉男 岐阜県飛騨地域農山村整備事務所治山林道課
渡邉 仁志 岐阜県森林科学研究所森林環境部・主任研究員
山崎 玲子 森林インストラクター・環境カウンセラー
安藤 直彦 京都大学大学院農学研究科森林科学専攻


文責:蔵治光一郎 kuraji@uf.a.u-tokyo.ac.jp


矢作川

調査項目について説明を聞いています

手入れ不足の人工林では林冠が閉鎖しています

足助の木材集積所

調査ポイントを探しています

葉っぱを白い布の上に並べて撮影

山に入る前の説明