人文・社会科学振興プロジェクト研究事業 フィールドワークショップ

「長寿化・少子化社会における知の継承と創造―何を・誰が・どのように−」

 

公開シンポジウム     平成17923() 10301815  仙台プラザホテル

フィールドワークショップ 平成17924()25()     石巻市北上公民館

 http://www.jsps.go.jp/jinsha/01_sympo_h170923.html

 

 

本研究事業は、独立行政法人日本学術振興会の研究領域の枠組みを超えた連携プログラムとして、「知的資産の活用」をテーマに時には机上で、また時にはフィールド(現場)で、地域社会の担い手である住民の生の声を交え、活発な議論を展開して、社会に発信することができると確信しています。

 結論から言ってしまえば、「知の継承と創造」とは、「前世代から引き継いだモノの負の遺産を残さず、代わりに現世代の何かを付け加え、次世代にバトンを手渡す」ということを感じました。

 組み立てとして、公開にて開催されたシンポジウムでは「知」の役割に関する部分について議論し合い、その上で、そもそも教育とはなにか?を精査し、「官から民へ」という流れの中で、「民」がマーケットであり、民の反対概念は官ではなく「公」で、「公」が共同体で、「公」はガバメントだけが担い手なのではなくノンガバメントも担い手である点が実は重要であることを見出しました。

 また、「何を・誰が・どのように」というテーブルセッションでは「誰が」を担当するわたしの属したグループでは「シナプス型ソフィア形成」を提唱した。

 しかしながら、制度をつくって情報公開してもその情報を引き出し使う方がその意義を理解していないと意味がないということになりかねない。最後は「人」の問題になるのではないか。組織の中でどのように変えていけばよいのか、どのようによりよくしていけばよいのかということが見えていないという感じを抱いているといった問題が指摘された。

 その後、シンポジウムを受けて、実際に地域づくりに参画した研究者らによるフィールドワークショップを実施するために場所を石巻市北上地区に移し、そこで暮す住民の話を聞き、生の声に触れることで「知」の継承の最前線を得たようにおもう。

 どの地域でも共通する点は節度と寛容をつなぐ、一見矛盾するものをつなぐというコーディネーターで、すり合わせ的なものをやっていくような人財がいろいろな分野で欠けているのではないか。今の組織の中でも欠けているものは、もしかしたらそういうコーディネーター的な人が育っていないところにあり、「教える側」と「学ぶ側」がその時々で、入れ替わるということも新しい知見を見つけだすよい機会であるように感じとることができ大いなる収穫でありました。

 今回得た「知」を一過性なものととらえず、これをいかにビジョンの中に取り入れていくのかがこれからのポイント。幾つものキーワードをいただき、こうしたものをいかにうまく社会にプレゼン(表現)していくことが大事である。

以 上

 

畔柳 剛 (Tsuyoshi KUROYANAGI

E-mail:cai0712@mug.biglobe.ne.jp

(株)シーエーアイ 技術本部 主任技師

(社)日本青年会議所 地域力創造会議所属