「社会へ貢献する地球システム科学としての水文学」シンポジウム
Hydrology delivering Earth System Science to Society

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◆日時
 2007年2月28日〜3月2日
◆開催地: つくば国際会議場(http://www.epochal.or.jp/index.html)

◆主催:東京大学、総合地球環境学研究所、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)/土木研究所、京都大学防災研究所、山梨大学

◆後 援:
科学技術振興調整費、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)、国際水文科学会(IAHS)/観測不足流域における水文予測(PUB)

背 景:
2000年の9月の国連ミレニアム宣言以来、グローバルな水問題の解決は、最も重要な国際的課題の1つになっています。しかしながら、社会的意思決定支援のための科学技術研究を目指しながらも人間活動の影響はあまり考慮されず、水循環変化の物理的なメカニズムやその気候変動との関係等に関する研究が主流でした。
一方で、最近の技術(特に情報通信技術の急速な発展)は、水文-気象学における観測・実験・解析および数値モデリングの将来性を飛躍的に向上させています。特に、リモート・センシング、デジタルデータ処理、コンパクトな記憶システム、リアルタイムデータ転送設備、高感度で小型のセンサーおよび大容量のデータ保存システムは、数十年前には実現不可能だった高精度の観測や数値実験を可能にしました。そして、コンピューター技術の飛躍的な進歩により、数十億種類ものデータを解析処理することがもはや不可能ではなくなりました。そして、数年先には細かい3次元格子で流域の水循環をシミュレートすることも不可能ではなくなるでしょう。残念ながら、このような水文-気象学の進歩は、グローバルな水問題の解決策に直接反映されてきませんでした。
本シンポジウムは、水文学におけるスケーリング、不確実性、同化技術、観測とモデルの統合、特にリモート・センシング・データおよび最新の情報科学の適用などを議論の対象とします。また現代では、グローバルな水循環でさえ人間活動によって大きな影響を受けています。人間活動を排除した「不攪乱で理想的な状態である」自然ではなく、人間の影響を考慮した「現実の」世界をいかにして適切にシミュレートするか、は、もうひとつの重要な課題です。そこで、潅漑や他の目的のための取水、あるいは貯水池操作のモデル化等についても議論される予定です。
この国際シンポジウムでは、以下のように話題を設定しました。

目 標:
1.比較的大きなスケールやグローバルスケールでの水循環予測のモデル化に関する最先端科学技術のレビュー。

2.水循環予測に関わる社会からの要請と、流域水循環モデルあるいは陸面モデル等を用いた水循環モデルシステムが現在できる事との間のギャップの認識。

3.現在の水循環モデルシステムを発展させるための戦略の構築。

4.日本の科学的なプロジェクト(JST-SCFCS、JST-CREST、RIHN、RR2002、21世紀COEおよびJSPS)の成果の紹介。

5.国際的なプロジェクト(GSWP2/GLASS、GWSP、GAME/Post-GAME、IAHS-H2020およびIAHS-PUB)の結果に関しての議論。

アジェンダ(案):

2月28日(水)
 10:00-10:45 セッション1 議長: 竹内邦良 (山梨大学、ICHARM)
 来賓祝辞(国土交通省河川局長等)
 「水文学の将来展望、IAHS/Hydrology 2020の成果」
 沖 大幹(東京大学)、Stefan Uhlenbrook(UNESCO-IHE)
 
 11:00-12:30 セッション2 議長: 寺川 陽 (ICHARM)
 「洪水および干ばつのリスク管理における国際的イニシアチブ、科学者への期待」
 UNESCO/WWAP事務局長(予定)、鼎 信次郎(総合地球環境学研究所、東京大学)
 12:30-14:00 昼食

 14:00-15:30 セッション3 議長: Xu Liang (ピッツバーグ大学)
 「高度な水文モデリングによる水文観測の不十分な流域における水循環予測」
 立川康人 (京都大学)、Dawen Yang (清華大学)

 15:30-16:30 ポスターセッション & 休憩
 
 16:30-18:00 セッション4 議長: 虫明功臣 (福島大学)
 「社会のための統合的な流域管理」
 David Wegner ((有)国際生態系マネジメント)、蔵治 光一郎 (東京大学)
 
 18:30- 懇親会
 
3月1日(木)
 9:00-10:30セッション5 議長: Murugesu Sivapalan (イリノイ大学)
 「斜面及び流域における水文プロセスの観測およびモデリングに関する新たな展望」
 大手信人 (東京大学)、Stefan Uhlenbrook (UNESCO-IHE)
 
 11:00-12:30セッション6 議長: Eric Wood (プリンストン大学)
 「地球観測時代における水文分野のリモート・センシングとデータ同化」
 小池俊雄 (東京大学)、瀬戸心太(東京大学)
 
 12:30-14:00 昼食
 
 14:00-15:30セッション7 議長: Dennis P. Lettenmaier (ワシントン大学)
 「大陸規模の陸面モデルの開発、検証、不確実性解析および適用に関する最近の状況」
 Chris Milly (USGS、プリンストン大学)、田中 賢治 (京都大学)
 
 15:30-16:30 ポスターセッション & 休憩
 
 16:30-18:00 セッション8 議長: Hoshin Gupta (アリゾナ大学)
 「人間活動を考慮したグローバル水循環モデルおよび水資源評価の将来展望。」
 Petra Doell (フランクフルト大学)、花崎 直太 (国立環境研急所)
 
 18:30- 交流会

3月2日(金)
 9:00-10:30 セッション9 議長: Soroosh Sorooshian (カリフォルニア大学アーバイン校)
 「20世紀の水文学からの教訓および次世代へのメッセージ」
 竹内邦良 (山梨大学)、Zbigniew Kundzewicz (ポツダム大学)
 11:00-12:30 総合討議 & 閉会式 議長: 沖 大幹 (東京大学)

シンポジウム事務局:東京大学生産技術研究所 沖/鼎研究室
担当:Hyungjun Kim (E-mail: hjkim@rainbow.iis.u-tokyo.ac.jp)
守利 悟朗 (E-mail: goro@iis.u-tokyo.ac.jp)
TEL: 03-5452-6382、FAX: 03-5452-6383