不知火海・球磨川流域圏学会 記念講演会

日    時: 平成17年10月29日(土)
場    所: 八代市千丁町文化センター・パトリア千丁
http://portal.kumamoto-net.ne.jp/town_sencho/contents_dbpac/html/html.asp?PAGE_ID=108


プログラム: (敬称略)
14時     受付
14時15分  開会
14時20分  基調講演  
 「流域圏構想の新たな展開」
  吉川勝秀(日本大学教授)
15時00分  流域に関する話題提供  
 「四万十・流域圏からのメッセージ」
  村上雅博(高知工科大学教授)
 「水俣病事件の教訓は活かされているか」
  原田正純(学園大学教授)
 「八代平野の干拓地の神々」
  佐藤伸二(八代工業高等専門学校教授)
―――10
分休憩―――
 「不知火海・球磨川流域圏における有機農業・自然農法の現状」
  片野学(九州東海大学教授)
 「八代海におけるアマモ場造成の試み」
  大和田紘一(熊本県立大学教授)
 「全国に広がる流域圏一体化への取り組み」
  蔵治光一郎(東京大学講師)
16時40分  応援スピーチ
  橋尾直和(四万十・流域圏学会誌編集委員長)
16時50分  流域に関するリレースピーチ 
17時20分  閉会

参加費: 資料代500円

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不知火海・球磨川流域圏学会設立趣意書(案)

 地域の文化や産業は、地域の自然環境を基礎として、地域固有の発展を遂げてきた
にもかかわらず、森、川、海の密接なつながりが、広く認知されるようになってきた
のは、つい最近のことのようである。熊本県の南部を流れる球磨川は九州脊梁山地を
源とし、川辺川を始めとする多くの支流を集め、不知火海へと注いでいるが、この流
域圏においても、水を仲立ちとして豊かな自然環境が形成され、それを基礎とした生
活、文化が育まれてきた。
 かつて、球磨川は日本でも有数の清流と言われていた。しかし、ダムや堰などの建
設による水循環の分断や、経済活動によって流域環境は悪化し、観光や漁業を支えた
自然環境は様変わりしている。また、林業の衰退は森林の荒廃を招くなど、流域経済
の基盤であった森・川・海の自然資源は疲弊の一途を辿っている。こうした負の流れ
を正の方向に早急に転換していくために、今地域住民及び産・官・学の一体的な取り
組みが求められている。
 不知火海は生産性の高い閉鎖性水域であり、そこに流れ込む一級河川は球磨川のみ
という、森・川・海のつながりに関わる研究に適するとともに、その取り組みの成果
を得やすい水域という特徴を持っている。沿岸の水俣市は、水俣病という負の遺産を
糧に環境都市として再生を果たしつつあり、また、八代市の球磨川河口干潟は「東ア
ジア・オーストラリア地域シギ・チドリ類重要生息地ネットワーク」に国際登録され
るなど、環境面からも注目されつつある。一方、五木、人吉、球磨、八代と流域経済
圏は上流から河口まで、温泉や川下りなど様々な自然という社会資源をもつ地域とし
ての魅力も兼ね備えている。
 また、この流域圏が抱える課題は、全国に共通するものであり、ここでの取り組み
の成果は全国の先駆的事例となるものと思われる。そのためにも多くの分野の様々な
立場の方が連携を取り、全国の流域が抱える問題の解決の糸口をこの流域圏で探るた
めに、ここに、「不知火海・球磨川流域圏学会」の設立を計画した。
 以上の趣旨に基づき、本学会は、不知火海・球磨川流域圏の望ましい方向性を目指
して、学融合的な研究および実践的取り組みを、研究者と地域住民が連携しつつ行う
ことを重視し、
1
) 森・川・海のつながりを流域圏として捉え、さまざまな分野での研究や情報を
共有することにより、新たな視点で研究や実践をめざし、その成果を地域社会へ還元
する。
2
) 自然環境そのものを対象とするだけでなく、第一次産業、地域社会などとの関
連を重視した人文・社会学的研究や取り組みも行う。
3
) 研究者のみならず、市民との交流を促進し、子供たちへの流域文化の継承をも
視野に入れ、横断的ネットワークづくりを進める。

平成 17年 10月 29日

不知火海・球磨川流域圏学会 設立発起人一同