上福岡市森ダム基金

1:基金設立に至る経緯

  埼玉県水資源対策協議会注1の活動として行われている秩父3ダム水源地域(浦山ダム・
 滝沢ダム・合角ダム)の表敬訪問注2に、下流地域代表10市町村として1991年8月に武藤
 上福岡市長が参加し、水源地域での林業の低迷や雨水を蓄える森林の荒廃を知り、「都会
 の飲料水確保のために山村が犠牲になっている現状に対し、何か手助けはできないものか。」
 との発想から、水源地域に対する認識を深めるとともに森林づくり事業を支援する目的で「森ダ
 ム基金」を設置した。
  基金設置当初は、5,000万円を目標として、その運用益で実施可能な森林づくりのための事業
 費(チェーンソーやかまを購入するなど)に充てようと考えていました。
  また、基金設置当初は、積立金の運用益を事業費に充てる果実運用型の基金でしたが、近年
 の低金利時代において、基金の利子のみによる運用だけでは基金設置目的の達成が図れない
 ため、新たに処分等の規定を設け、原資取り崩し方基金とした(2002年4月条例改正)。

 注1:埼玉県、埼玉県水道用水供給事業の供給区域内の市町村長及び水道管理者、日本水道
     協会氏頭権支部をもって構成され、埼玉県に関係するダムの建設を推進するため、水源地
     域の実情についての理解を深め、その振興対策に協力することを目的としたもの。

 注2:下流地域として上流地域の日ごろの苦労に謝意を表し、上流地域と下流地域の相互理解を
     深めることを目的とし、毎年度実施されている。


 :基金設立の目的

  森林は、木材の生産だけでなく、降雨を土壌中に浸透させて蓄え、新鮮な水を除除に造りだす
 働き(水源涵養)や、洪水や土砂流出などの自然災害を防ぐなど、様々な公益的機能により人間
 を保護してくれており、私たちはその多くの恵みを受けて豊かな都市生活を営んでいる。
  しかし、森林を取り巻く状況は、木材の低迷や林業地域の高齢化・過疎化などにより森林の手入
 れが行き届かなくなっており、森林の持つ公益的機能が失われつつあるなど、年々厳しさを増して
 いる。
  その森林の、特に生活に欠かすことのできない水を確保する水源地域の森林の大切さと、それを
 守り育てているその地域の人たちに対する認識を一層高めるとともに、県内の水源地域における森
 林づくり事業を支援する目的で基金を設置することにした。
  支援の対象とする森林づくり事業は、対象市町村が実施する人工林の水源涵養その他自然環境
 の保全機能を高めるために行う整備事業及び育成事業で、次に掲げる事業としている。
   (1) 森林整備事業
   (2) 森林の重要性の啓発等の広報活動事業
   (3) その他森林づくりに必要な事業

                                                (アンケート回答より)