講演資料(.ppt形式) | |
蔵治光一郎
講演者: 蔵治光一郎
演題:人文・社会科学振興プロジェクト「青の革命と水のガバナンス」研究グループについて〜「緑のダム」研究を中心に〜
日時: 12月6日(月)14時〜
場所: 独立行政法人土木研究所(つくば)土研研究本館1F講堂
要旨: 日本学術振興会では平成15年度より人文・社会科学振興プロジェクトを 開始し、研究グループの一つとして「青の革命と水のガバナンス」が採択 された。青の革命とは 「緑の革命」によって人口増加を上回る食糧生産が 達成されたのと同様に、「青の革命」によって21世紀の「水危機」を克服 しようというものである。具体的には、新規水資源開発に代わり、土地利用、 生態系、社会・政治システム、人間の心のあり方を含めた水の合理的・ 合倫理的な分配・利用を実現する新しい水ガバナンスを形成しようという ものであり、近年日本で議論となっている「緑のダム」問題と密接に関わって もいる。本講演では、研究グループの目指すところや具体的活動、「緑の ダム」に関する現状認識や今後の可能性などについて思うところを述べたい。
主な質疑応答: ・青の革命の意味がわからない。 →プロジェクトを進めながら考えていく。 ・アメリカではwater resources managementという言葉で水と土地の総合的管理がやられてきた。青の革命と何が違うのか。 →managementとは上に立つものが資源を下のものに分け与えるという高圧的、中央集権的なもの。最近ではそれに代わってみんなで資源の使い方を考えようという機運が高まっている。governmentが機能しないから、governanceが必要。 →価値には序列がついている。managementとは上位価値のものを集中的に利用しようとする姿勢。マイノリティ、少数意見は無視される。それをひっくり返し、マイナーな意見を拾うのが青の革命。 ・managementという言葉が高圧的だというが、むしろGovernanceの方が高圧的ではないか。 →governanceの意味は学問分野によって異なる。 ・これまでの河川管理がパターナリスティックだったのは、一般の人がそう望んでいたことも大きい。それは今でも変わっていないのではないか。 ・長良川河口堰問題以降、河川管理は大きく変わったと認識している。河川法改正に象徴される。 →河川法改正以降も変わっていない現場もある。河川整備基本方針は1級河川の1割しか策定されておらず、あとは経過措置(旧法のまま)。 ・河川法改正の理念が生かされていない。河川法改正からすでに時間が経過し、状況がさらに変わってきている。 ・科学者は蛸壷化しやすいというが、土木研究所は科学者でなく技術者の集まり。技術者の責務、責任は科学者とは別途、考える必要がある。 ・科学的情報を一般に提供することがそもそもいいことなのか。 →現在の水系を巡る諸問題の解決には、管理者と市民の相互不信をまず解消しないといけない。データを隠匿していると誤解されかねないことはすべきでない。 →生データは積極的に出すべき。生データをいろいろいじったデータは慎重に。 →科学者の良心に従えば、不確実な情報は出せない。しかしそれが確実な情報になるまで待っていたら、その間に災害が起きたり人が死ぬかもしれない。――迅速性と確実性の匙加減。 ・ 流域の持続性、健全な水循環系などの概念とリンクするとわかりやすい。――データのみでなく解釈の必要性。
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©2004. Research Project on Global Governance of Water.