青の革命と水のガバナンス研究グループ

青の革命と水のガバナンスブログの記録
3 第24回委員会議事録(概要)
投稿1 2005/9/9(金) 午後 8:13 
投稿1 蔵治光一郎  2005/9/9(金) 午後 8:13 
                記
1. 日  時   平成17年9月5日(月)午後5時30分から午後9時
2. 場  所   尼崎市立女性・勤労婦人センター(3F トレピエホール)
3. 内  容
(1) 開 会 県土整備部土木局河川計画課 黒田主幹兼事務係長
出席委員の報告(19名)と配布資料の確認
(2) 議 事
松本委員長…前回の9月1日の議論を踏まえて、基本高水の議論を考えていきたい。@基本高水―(流域対策+貯留対策)=計画高水であり、計画高水は、各種の対策即ち総合治水対策になる。A次回からは、総合治水の議論に入って行きたい。B河川整備基本方針、暫定目標を持った河川整備計画の議論を併行して行う。前回から意見書の補強をしていただいた委員の発言をお願いしたい。
岡田委員…補強資料に基づいて棄却のあり方を検討した。棄却基準の設定において、表2では、棄却前のデータが記載されていない。カバー率での棄却である。表1は、雨量による棄却とカバー率による棄却は同じである。表2は、引伸ばし率2.5以下で検討した。カバー率棄却で4,883m3/sであり、6時間雨量での棄却では5,045m3/sとなる。カバー率、ピーク流量の補数となる。昭和57年7月21日のデータは、カバー率61%となる。伊勢湾台風の時のデータは、観測数が少ない。カバー率も棄却もあまり意味が無い。表1のデータで信頼限界90%(3,700m3/s)か95%(4,000m3/s)か99%を採用するかである。ヒストグラムを用意している。表2でn=34の場合、平均は、3,421m3/s、90%信頼限界3,770m3/s、99%信頼限界3,985.437m3/sとなる。棄却の意味が理解し難い。
中川委員…委員長が3点のまとめをされたが、基本高水を高い方にするか、低い方かの提案があったが、基本高水を決める必要がないのでは、財政的制約、時間的制約、技術的制約、社会的制約で対策が取れない場合がある。前回の委員会で、田中課長はトレンドで決めて行くと説明されたが、市民の安全・安心はどこにあるのか。想定外のことが起これば、防げない。政策を夢で終らせてはいけない。意見書の中にもあったが、河川工学の専門家の議論は、市民に理解できない。降雨の確率であって、流量の確率ではない。大きい基本高水を採用すれば、安全かといえば、そうではない。対策が実施されてはじめて有効になる。
奥西委員…前々会に流量統計を提出してどれが正しいかの議論をしたが、県では、グンベル分布で説明された。雨量統計とは違う、ピーク流量だけにこだわってはいけない。
山仲委員…4,100〜4,500m3/sを提案する。昨年の4,465m3/sを丸めて4,500m3/sとし、昭和54年8月の洪水を丸めて4,100m3/sとした。
伊藤委員…昨年の23号台風のハイドログラフを提出して欲しいと発言したが、時間的に間に合わないとのことであったが、13回の委員会のデータで作成し直すと2,900m3/sとなった。棄却後の最大値で考えたいので再検討して欲しい。
委員長…各委員の意見について、河川管理者からの回答をお願いしたい。
松本河川計画課課長補佐…岡田委員からの提案の件、表1、表2については、カバー率を上の方から取るということである。岡田委員が統計処理を去れているが、サンプルをランダムに集めて、統計処理をした場合の中央値、平均値を取るものである。正規分布にのるかどうか、分布状況を考慮して考えるべきである。洪水の処理については、統計で処理すべきものではない。例えば、例が悪いかも知れないが、日本人の身長を1,000〜2,000人のサンプルで統計処理する場合に当るのでは、異常値の2.3mとか1.5mを棄却するような場合になるのでは。昨年の23号台風についての対応が説明されていない。中川委員への回答として、河川砂防技術基準の中にも河川整備基本方針、河川整備計画の中に基本高水の数字を決めろと書かれているので、決めないで方針・計画は決められない。計画の規模は、降雨量の年超過確率で考えるとの記述がある。基本方針と整備計画が同じという河川(神戸市域…実力のある川)もあるが、阪神地域には、それなりの量を定めておくべきである。
奥西委員…グンベル分布については、局地分布であり、これだけではデータが少ない。
渡邊河川計画課主幹…伊藤委員の指摘のとおり、時間が間に合わなかったので、縦軸が1.3倍となっており、引伸ばした値となっている。
伊藤委員…波形はずれていると思う。国土交通省は数値とハイドログラムから基本高水を計算するとなっている。
川谷委員…モデル計算と一致している。ピーク流量と波形が異なって当たり前である。モデル計算の時に遅れ時間がずれているのを補正すれば良いのではないか。
伊藤委員…後半のずれているところを青野ダムに利用されているのであれば、そのパターンを利用すれば。
川谷委員…一雨毎の再現性を検証するのではなく、モデルを選定する時に多くの降雨に合うものを採用する。
伊藤委員…計画結果のハイエイトグラフが一人歩きするのではないかと恐れる。
川谷委員…どれ位のピークが予測として出てくるかを考え、奥西委員が言われたように対策を考えるべきである。
奥西委員…毎年の最大を取っていないが、雨量統計と同程度正しいと思う。データ数が少ないので、正しいかどうか不明である。示されているデータは、これが全てであり、県の考え方はおかしい。統計的最ゆう尤値をピーク流量としているが、小さい値を取れということではない。
岡田委員…県の考えについて、ランダムサンプリングではないということであるが、平成15年の県当局の基本高水の委託事業の中から選んだものであり、統計確率の意味が無いのであれば、1/100確率の計算も同じ。表1の24時間242mm、表2の24時間247mmのデータ、引伸ばし率2以下のデータを提供していただければ再計算させていただく。中川委員の意見のように、基本高水を高くとれば、対策に費用がかかる。最大値を取るということであれば、対策に経費がかかる。
川谷委員…岡田委員が言われた24時間242mmという枠であり、最大値は歯止めがある。最大値は、際限無く大きくならない。正規分布になるかどうかは、不明である。岡田委員は、品質管理の観点で話されたと思う。どこまで適用可能かは検討が必要である。

………   休     憩   ………


委員長…先程の議論を踏まえるとバックデータの処理の手法等に対する意見もあったが、基本高水をどうするか議論して欲しい。
中川委員…県から意見に対する返答があったが、私は県に回答を求めたものではない。流域委員会としてどう考えるかを確認したものである。今までの行政計画で良いのか。浅見委員は努力目標、佐々木委員は理想という意見もあった。流量1/100ではないということも理解している。最後のところで基本高水は、大きい方が良いのか、川谷委員から基本高水を低くして、準備を整えれば良いのではないかとの意見があった。総合治水対策の議論には必要である。
土谷委員…流域対策が大きくとれれば、基本高水は大きく取っておけば良いという理解をしていたが、今、総合治水対策に入って、流域対策が大きく取れれば、基本高水を決定できる。流域対策だけの対応は可能ではないか。先に、流域対策を決めて、貯留対策を検討し、基本高水はその後決定してはどうか。
奥西委員…今のご意見に賛同するが、厳格に対策が入っていない。
委員長…土地利用、氾濫許容も入るのでは。また、森林の持つ役割も流域対策に入ると思うが。
奥西委員…県が実力のある川、実力のない川と説明されたが、基本高水をクリアー出来なければどうするのか。
酒井委員…素人であるが、水害の状況を見て、河川管理の限界ではないか。専門家と一緒に議論するのは無理がある。基本高水を大きくとればダムが必要になるとの思いが、委員にはあるのではないか。河川課でけで河川管理は困難である。流域で治水すべきである。河川の生態系を考えるとダムは認められない。河川災害に対する一元化が必要である。農林、まちづくり担当が出席していないことが理解できない。
長峯委員…基本高水といえば、努力目標、理想との意見もある。準備会議から入っているが新河川法では、方針、計画を同時に議論したいと提案して、受け入れて貰えたが、どこまでフォローしてくれたか不明である。行政の責任の問題が提起されたが、大きい過大な計画を作って過ちを起さないような手法を取ってきた。住民の側にも問題があるが、最近は住民も政策決定に参画と協働で議論することができる。この委員会もそうだと思っていた。しかし、実際は責任を取っていない。計画を決めたことを実現させるべきである。今まで、計画した事を実現した部分と実現できなかった部分の検証が必要、今一度考えて欲しい。計画では、具体的スケジュールを決めて行く。出来なかった評価が必要である。提案している3,800m3/s〜4,000m3/sは低めだと思うが、ハードルは高いと思う。武庫川が県として、どれ位に位置しているのか、費用、時間の面でも難しい。流域対策は、国土交通省によれば数値化されたものでないと明記できない。森林対策は図とは別枠(流域対策とは位置付けられない)として、実行性あるを作って欲しい。4,500m3/sは県として、譲れないとの話しがあったが、怒りを感じている。結論が出ているのであれば、流域委員会の存在意義が無くなってしまう。
佐々木委員…基本高水を大きくするか、ほどほどにするか、決める必要がないとの3つの意見があるが、中川委員の意見は過激な感じがした。流域の住民の安全度をどう確保するのか。基本高水を決める必要がないということを議論するのはおかしい。基本高水が大きくても小さくても準備は出来る。ということは、激甚災害の指定を受けるのに支障がないのか。基本高水を設定しないことには反対である。ダム無しで5,000m3/sを安全策として対応させる。千代延氏が提言されているダブルスタンダードを用いてはどうかということに賛同する。実現可能な3,800m3/s〜4,000m3/sで計画を定めてはどうか。
田村委員…50年、100年後の超長期の場合は、土地利用の予測が困難。1/100が明日起こるか、100年経過しても起こらないこともあり、色々な組合せが起り得る。マスタープランをしっかりと決めておくべきである。都市計画マスタープランは、せいぜい10年程度短期、中期、長期に分けて考えるべき。最低守るべき対応(短期)、中期は予想できるものとそうでないものに分ける。50年以上の超長期は必要に応じて記述する。河道内対策と流域対策に分けるべき。10年毎の見直し即ちローリングが必要である。前回、3,800m3/s〜4,000m3/sで上げているが、中期のものか迷っている。今日の新聞で、温暖化の影響で雨の降り方が変化すると書かれていた。降る時は土砂降りになるといわれている。
中川委員…佐々木委員の指摘のように断定的に書いた。対策が考えられていない状態で基本高水を議論することが難しい。長峯委員の指摘のように、実行性のある整備計画がほしい。
奥西委員…中川委員の意見と関係すると思うが、1/100確率で議論することは、当初反対であった。他の川に比べて安全にすることは考えていない。1/100でどう基本高水を高く設定するのか、何がなんでも1/100には、こだわらないが、共通の理解をした上で考えたい。
草薙委員…最下流に住んでいる。±0メートルに住んでいる。県に要請して基本高水の計算をしていただいた。(資料2−3)西宮、尼崎については、防潮堤で海水から防いでいる。アメリカのハリケーンのような台風が上陸すれば、大きな被害が予想される。4,500m3/sは最低と考えている。
岡委員…棄却後の最大値と言っている。リバーサイド住宅は、昭和58年(2,000m3/s)、平成11年、平成16年(2,900m3/s)と3回水害にあっている。4,465m3/sを目指していきたい。流下能力が、3,000m3/sであれば、1,500m3/sは何らかの対策を考えるべきではないか。
谷田委員…草薙委員、岡委員の話を聞いていて、自然災害からどう身を守るかを考えれば、逃げることしかないと思う。リバーサイド住宅に住み続けたい理由は何かを聞きたい。
岡委員…アメリカに上陸したハリケーンのカトリ―ヌの場合、日本と異なる。アメリカの平野部に上陸したため勢力は落ちなかった。日本の場合、山間部があり一度上陸すると勢力は落ちる。状況が異なる。リバーサイド住宅は、せせらぎがあり、風光明媚である。出来れば移転したくない。
草薙委員…ハリケーンは、湖になりなすよということで説明した。
浅見委員…岡委員が言われた4,465 m3/sが妥当と思う。対策を考えるのに対象降雨を決めて考えるべき、4,465m3/sは1/60、水質専門の方2名が引伸ばし率2.5倍以下ということで考えた。
委員長…前提がはっきりしない中で結論を考えるのは困難である。自然解散になるとまずい。基本高水の徹底的な議論は終っていない。まとめるために、@総合治水対策をどう積上げるかが大きなネックになっている。河道対策と流域対策、A高めの設定、低めの設定は、基本高水と連動している。
今、4,500〜5,000m3/sと3,600〜4,000m3/s中間的に4,200〜4,500m3/sの意見もあるが、議事フローAの基本高水の設定を終えて、次の議論に入って行きたい。また、河川管理者の意見は、絶対的なものではない。次回の第25回の委員会で議論いただきたい。(9月14日の予定)
奥西委員…議事進行としては良いが、どこから見ても、1/100の降雨で3,800m3/sを提案したい。
………   傍 聴 者 意 見   ………
奥川氏(西宮市)…問題点として、2点上げたい。@長峯委員の指摘のように、県が基本高水の議論に干渉し過ぎている。A4,800m3/sは、1/100の降雨であり、実績流量のデータが不十分である。
中前氏(西宮市)…傍聴しているが、運営方法が以前と異なってきた気がする。参画と協働ということであるが、資料提供を求めるだけで、県の意見を聞く必要はないのではないか。
川西氏(川西市)…県の前回の発言に問題があるのではないか。
疋島(大阪市)…淀川水系流域委員会では、ダム事業の見直しをしている。基本高水を4,800m3/sにしたいという県の考え方は、ダムありきの発想ではないか。
丸尾氏(尼崎市)…畑委員の意見に賛成である。1/100確率が降雨であり、甲武橋で1/100流量のどちらが正しいのか。
委員長…委員会で決めたことは、河川管理者に実行してもらうということであり、運営に若干問題があることは見とめるが、リバーミーティングで議論したい。

以 上

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