3班実習レポート 2001.10.10

目的
森林の管理・取り扱いを行うには、対照となる森林がどのようなものであるかを認識し、適切な方法を選択しなければならない。森林は、様々な内的・外的環境によって独自の生態系を発達させるため、対象となる森林を位置づけるためにはその森林の構成を把握することが必要である。
また森林は立体的な構造を持っており、森林生態系全体の生物多様性を考える上でその構造を把握することが大切である。
これらのことから、今回の調査では北海道演習林内の河畔林を対象に、森林の位置づけのために植生調査と、森林内部の階層構造を把握するために毎木調査を行った。またこれらの結果と他の森林とを比較し、河畔林の特徴について考察した。

調査方法
調査地
 富良野にある東京大学北海道演習林内の河畔林を調査地とした。まず河畔林内の適当な場所に50x50mのプロットを作成し、その中を4等分した25x25mを一つの調査単位とした。
毎木調査
 方形区内の胸高直径6cm以上のすべての樹木について、直系尺を用いて胸高直径を測定した。同時に根元にナンバーテープをガンタッカーでつけ、樹木番号を記録した。また測定木の位置をx、y座標で記録しマップを作成した。

結果
毎木調査の結果を樹木位置図として図1に示す。
また毎木調査をおこなった樹木について、胸高断面積のサイズクラスごとの頻度をもとにしたヒストグラムを図2に示す。比較として前山の針広混交林のデータも含んでいる。さらに樹種別の胸高断面積比率を図3として示す。(図3-1図3-2

考察
樹木位置図からは、それぞれの種・特定のサイズの樹木の分布については、特に注目すべき傾向は見られなかった。調査区内には、河川の支流や段差が見られたが、このサイズスケールにおいては、そのような地形は特定の植物種の分布に対しては影響していないと思われた。
サイズクラスごとの頻度分布を描いたヒストグラムについては、河畔林である岩魚沢の調査区と、針広混交林である前山の調査区の間でさほど大きな違いは見られなかった。河畔林は、湿性で、攪乱の頻度が比較的高い立地に成立している植物群落であるため、サイズクラスの構成について、針広混交林との間に何らかの違いがあると考えられたが、今回はそのような違いはなかった。これは岩魚沢の調査区が河畔林に特有な攪乱の頻度が低く、比較的安定な環境にあるためと思われる。