プロットの特徴：標高約900m〜1600mの落葉広葉樹林のうち、標高約1100m〜1300mを中心にした、ブナ(Fagus crenata)・イヌブナ(Fagus japonica)・ツガ(Tsuga sieboldii)が優占する混交林からなる。傾斜、約50度〜20度で、下部の入川・赤沢に接近するほど平均斜度が増し、上部の尾根鞍部に接近するほど平均斜度が減少する。
プロット設置および調査経過：1990年から、約15haを25m四方の方形区に区切り、コンパス測量を開始した。1993年に、宿泊・休憩用コンテナハウスを設置、高さ約25mの鉄パイプ製森林鉄塔を建設し樹冠部観測を開始（1997年まで利用後、撤去）。プロット内を通過する入川林道に、気象観測ステーションを設置。1994〜1995年度文部省科学研究費を得て、再測量を実施、7haの区域の胸高直径5cm以上の毎木調査を実施、新規森林鉄塔２基を建設して、樹冠部の結花・結実状況観察を開始。1998〜1999年度文部科学省科学研究費補助金を得て、２回目の毎木調査および調査区域の拡張を実施。以後、調査区域を３つに分け、５年ごとの毎木調査を継続中（秩父演習林試験掛・担当）
当調査地周辺では、ブナ・イヌブナの結実量動態、実生トランセクト、ノネズミの動態、ブナ・イヌブナ実生の初期生残過程、ギャップにおける実生更新、落葉の移動様式、地上高による昆虫相の季節変化、ロボットカメラによる景観自動記録・録音（
サイバー フォレスト）、鳥類群集の記録、などの研究が、短期・長期に実施されている。
プロットの景観（写真/ 南から）
プロットの景観（写真/ 南西上方から）
尾根部植生断面図（VSV, Vertical Section of Vegetation)
/ 紅葉 / 新緑 / タマゴテングタケ /オオミズアオ羽化/エゾハルゼミ抜殻/
プロットの観測・研究施設：森林鉄塔（鉄パイプ製・高さ約25m)２基、気象観測ステーション（気温・湿度・風向・風速）、宿泊・休憩コンテナハウス（10m^2)１、物置・休憩用コンテナハウス１、
樹木リスト(文献No.2-p.46 表2から）
温度ロガー実測記録（公開資料１／観測者・石田 健）：
研究報告書・論文：
１．1997. 平成6〜8年度文部省科学研究費補助金基盤研究B(2) 大面積プロットによる秩父地方山地帯天然林生態系の解明(代表・梶幹男）研究成果報告書.
２．2000. 平成10〜11年度文部省科学研究費補助金基盤研究B(2) 長期生態系プロットによる森林生態系の解明(代表・梶幹男）研究成果報告書.
３．石田健. 1997. 森林の長期研究フィールドとしての大学演習林 - 東京大学秩父演習林の場合 - . 個体群生態学会会報
54: 35-40.
４．梶幹男・澤田晴雄・五十嵐勇治・蒲谷肇・仁多見俊夫. 2002. 秩父山地のイヌブナ−ブナ林における17年間のブナ類堅果落下状況.
東京大学農学部演習林報告 106: 1-16.
５．越田全彦. 1996. 秩父山地の落葉広葉樹林におけるアカネズミApodemus speciosus とヒメネズミApodemus
argenteus の生息環境選択の季節変化. 東京大学農学部林学科・卒業論文19pp.+XVI.
６．Alice Takako Uryu. 1997. Gap characteristics and gap regeneration
process in a climax beech forest, Chichibu mountains - Central
Japan. Master's thesis, Faculty of Agriculture, University of
Tokyo, 45pp.+iii+XXXIV.
７．五十嵐哲也. 1997. ブナ、イヌブナの結実量の変動と受粉効率との関係. 東京大学農学部林学科・修士論文
８．Homma, K. et al. 1999. Geographical variation in the
early regeneration process of Siebold's Beech (Fagus crenata
BLUME) in Japan. Plant Ecology 140: 129-138.
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