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研究

日光国立公園尾瀬ヶ原における利用者の意識構造

富士演習林 助手 山本清龍

2003年6月6日

 日光国立公園内に位置する尾瀬には極めて優れた景観や学術上貴重な自然が残されています。これまでも開発と自然保護の軋轢(あつれき)、保護と利用の両立といった、いくつもの困難な課題が大きな社会問題となり、わが国の自然保護のシンボルと言われ続けてきました。歴史的な大きな問題として纏めてみると、1)電源開発を巡る論争や2)自動車道路建設問題、3)過剰利用の問題などがあり、最近の問題としては、1)踏みつけによる植生破壊や廃水処理問題や2)移入種による生態系の攪乱、3)過剰利用の問題などがあります。一般的には自然公園の過剰利用という概念は、利用者の増加による影響が自然の持つ許容量を超えて自然環境に破壊が生じることを指しますが、私の研究では利用者が集中する休日において、木道や施設周辺が混雑を極め静かに自然を楽しむことが出来ない状況、即ち利用者の利用環境を問題として捉えています。

 研究結果により、尾瀬利用者のアメニティ(1)を増加させ、ディスアメニティ(2)を減少させていく具体策について検討する為の意識構造モデルを作成し、国立公園尾瀬の利用適正化あるいは効果的な利用の促進を図る場合に、意識構造に内在するアメニティ要素や因子の独立性、その構造性そのものを考慮する必要があることを指摘しました。 自然をまもるということは何なのか、国立公園に必要な規制は何か、その規制がもたらす問題は何か、規制されない利用者のマナーはどうあるべきか、など自然環境における人間の持続的な利用のあり方、快適な利用のあり方について考えを巡らせています。今後は、利用者のマナーを起点として環境啓蒙についても考えていきたいと思っています。

<参考文献>

[1] 山本清龍他(2003):日光国立公園尾瀬ヶ原における利用者の意識構造について:ランドスケープ研究(日本造園学会誌)66(5),715-718

[2] 中島慶二(1998):尾瀬問題と国立公園管理:国立公園562,8-11

<用語解説>

(1) アメニティ(amenity):(場所・気候などの)心地よさ、快適さ、快適環境、(人柄などの)好ましさ、感じのよさ(研究社新英和中辞典)

(2) ディスアメニティ(disamenity):(場所などの)不快さ、不便、不都合(リーダーズ 英和辞典)