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研究

年輪から探る森林の過去(年輪生態学の世界)

秩父演習林・富士演習林 助教授 石橋 整司

2005年9月29日

 人工林のように人間が植栽した森林は、いつ、どの程度の樹木を植えたのかがはっきりしている場合がほとんどです。しかし、天然更新でできた森林では過去の成長の経緯がはっきりわからない森林も少なくありません。こうした過去の履歴がわからない森林の過去を探る方法のひとつが年輪解析です。成長錐と呼ばれる道具で樹木の幹に小さな穴を開け細長いサンプルを採取します。このサンプルに見える年輪を解析することによって過去の出来事や森林の成立過程を推定していくのです。北海道の利尻島で調査した森林の例では、大小さまざまなサイズの針葉樹や広葉樹が混ざっている森林ですが年輪を調べてみると樹木のサイズや種類に関わらず年齢(樹齢)が近いことがわかります。大きな太い木も小さな細い木もどうやら同じくらいの年齢の木だというのです。この森林では今から100年から150年くらい前になにかの理由でそれまであった森林が破壊され、そのあとに一斉に更新した樹木の生き残りが現在の森林をつくっているようなのです。100年以上も前におきたカタストロフィーとその後の一斉更新の原因はいったい何だったのでしょう? 台風や大雪のような気象害でしょうか? それとも開拓に入った人間達が伐採してしまったのでしょうか? さらに同じ利尻島でも標高の高いところにあるダケカンバ林では樹木のサイズと年齢がよくあっていました。この2つの森林の違いの原因は? 楽しい謎解きは今日も続きます。