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研究

針広混交林の成長を予測するモデルの開発 混交林の持続的管理に期待

辰巳 晋一(教育研究センター 博士2年)
2012年6月6日


研究内容

休日の予定を立てるときに天気予報があると便利なように、森林の伐採計画を立てるときに森林の成長を予測するモデルがあると便利です。北海道の針広混交林(針葉樹と広葉樹が混じり合う森林)では開拓以来、木材を生産するために伐採が行われてきました。今後、どのような伐採を実施していけば、針広混交林の質を損なわないまま、持続的に木材生産を行っていけるのでしょうか? 私は、その伐採計画を立てる際に役立つ、森林成長予測モデルの開発に取り組んでいます。

従来の成長モデルでは、森林全体の“平均的”な成長量を予測するのが一般的でした。しかし、実際の針広混交林の林内では、環境(光環境など)が局所的に変化し、樹木はそれぞれ異なった成長量を示します。従来のモデルはこういった個体ごとの差異を反映していないため、時として間違った予測結果を提示してしまう危険性がありました。そこで今回、樹木一本一本を単位として予測を行う“個体ベースモデル”を用いました。個体ベースモデルを使って過去の針広混交林の成長を再現(シミュレーション)したところ、野外で実測された森林の構造(樹木のサイズ別の本数や、森林蓄積など)を、このモデルは概ねよく再現できることが分かりました(図1、2)。過去をうまく再現できることは、将来をうまく予測できる可能性を意味します。今回の個体ベースモデルは、従来のモデルでは難しかった針広混交林の複雑な構造の予測に適していることが示唆されました。

モデルはまだまだ開発途上です。今後さらに改良を重ねてモデルの信頼性が高まれば、より科学的な裏付けを持った伐採計画の立案に貢献できるのではないかと期待しています。


図表

TS_Fig1.jpg
図1. 直径階別の樹木本数の実測値と推定値.
エラーバーはシミュレーション値の95%信頼区間を表す.

TS_Fig2.jpg
図2. 森林蓄積(胸高断面積合計によって評価した)の実測値と推定値の過去の時系列変化.
エラーバーはシミュレーション値の95%信頼区間を表す.


発表文献

Tatsumi S. Owari T. Toyama K. Shiraishi N. (2012) Adaptation of a spatially-explicit individual-based forest dynamics model SORTIE-ND to conifer-broadleaved mixed stands in the University of Tokyo Hokkaido Forest. FORMATH 11: 1–26 (http://www.formath.jp/publication/book/vol11/Vol11/Vol11_1-26.pdf)