研究

陸域生態系としての森林(地上部だけでなく地下も含む)が、自然現象として水、栄養塩、炭素その他、流域を単位として出入りし、内部で循環する物質の動きや収支にどのような影響を及ぼしているかを科学的に明らかにします。そのことにより、人間社会が森と水との関係として期待している各種機能の実態を解明し、森林の多面的な機能の中での水、土砂関連機能の位置づけとトレード・オフを明らかにし、現実社会の森林が持っている水、土砂関連機能の現状の把握手法の開発と、その機能の強化に向けた技術の開発を目指します。また人間社会が森と水との関係、森と土砂との関係をどのようにとらえ、その恵みを利用し、行き過ぎた利用により失ってきたのか、人間社会が森と水との関係、森と土砂との関係を今後どのように認識し、利用していくのか、歴史的、社会的、文化的、経済的、法的な側面から多面的に研究を行っていきます。

赤津研究林における重点研究

赤津研究林は生態水文学とその周辺分野の実験・調査を実施する中心的なフィールドとして位置づけ、以下の3つの研究を重点的に行います。
1)80年以上の間、継続してきた白坂、穴の宮、東山の3箇所の山地流域における流出量の長期観測を引き続き実施し、今後の気候変動や病虫害等の森林撹乱に伴う山地流域の水循環過程の変化を調べる研究を進めます。このうち東山については観測中止の可能性について検討します。
2)広葉樹二次林の動態やそこに生息する動植物相の長期的な変化を明らかにすることを目的として、白坂小流域内の長期生態系プロットにおいて、生態系のモニタリングを継続して実施します。

今後の計画として、白坂流域内にある南谷、北谷の2箇所の小流域では、片方の流域に森林伐採等の人為的な撹乱を与えるといった大規模操作実験(総合的対照流域法)を実施し、森林の平準化作用、蒸発作用、洪水軽減、水資源涵養機能をはじめとする森林の多様な作用や機能を実証的に調べるプロジェクトを企画し、実行する予定です。

犬山研究林における重点研究

犬山研究林は、その表層地質が中古生層あるいは第三紀砂礫層である点に特徴があり、主に風化花崗岩を表層地質とする赤津研究林とは地質条件が大きく異なります。また、犬山研究林におけるハゲ山からの森林の遷移状態も赤津研究林とは異なっています。以上を踏まえ、以下の4つの研究を重点的に行います。
1)地質・植生の違いが森林流域における水循環過程に与える影響を解明することを目的として、24・25林班の中古生層流域や14林班の第三紀砂礫層流域における流出量等の調査を継続していきます。
2)間伐が水循環や土砂流出量に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、25林班の間伐されていない過密ヒノキ人工林において、流域全体のヒノキ人工林を実際に間伐する大規模操作実験を実行します。

今後の計画として、赤津研究林とは異なる基盤地質条件、人為的かく乱条件をもつ広葉樹二次林の動態やそこに生息する動植物相の長期的な変化を明らかにすることを目的として、犬山研究林内に長期生態系プロットを立ち上げ、生態系のモニタリングを開始する予定です。

1925年から観測をしている
穴の宮量水堰
地下水流量を観測する
斜面ライシメーター
長期生態系モニタリング
量水堰での水位観測 気象データの回収 観測に欠かせない
量水堰の砂出し作業

これまでの研究業績