わたしたちの身近にある森林や公園の,ナラの大木が枯れる現象(ナラ枯れ)が目立って見られるようになりました.日本各地に七つある東京大学の演習林のうち,最初にナラ枯れ被害が深刻化したのが,愛知県にある生態水文学研究所(2011年6月に名称変更.旧・愛知演習林)でした.
そのようなことから,2011年1月に,生態水文学研究所の研究林のある犬山市において,ナラ枯れ研究の第一人者である東京大学の鎌田直人教授をお招きして,ナラ枯れの研究により得られた科学的知見を紹介していただいた上で,市民・行政・大学の三者が一同に会して,身近な森で起きているナラ枯れとその管理について議論するためのシンポジウムが開催されました.
本書は,そのシンポジウムでの講演や議論の記録です.本書を通じて,「ナラ枯れ」そのものへの理解を深めていただくことはもちろんのこと,いろいろな立場の人がどのように「ナラ枯れ」を考えているのか,また本書の「ナラ枯れ」に関する議論を例にして,わたしたちの身近な森を管理していくことの難しさを感じていただければ幸いです.
<もくじ>
P3 はしがき
P7 歓迎の挨拶 田中志典(犬山市長)
P9 主催者挨拶 蔵治光一郎(東京大学愛知演習林*・林長)
P15 【基調講演】『ナラ枯れのメカニズム動態』鎌田直人(東京大学秩父演習林・教授)
P47 【パネルディスカッション】
コーディネーター 山本清龍(東京大学愛知演習林*・助教)
パネラー 小川正博(犬山市農林治水課・課長)
紀藤昌仁(犬山市エコアップリーダーの会)
鎌田直人(東京大学秩父演習林・教授)
コメンテーター 澤田晴雄(東京大学愛知演習林*技術主任)
鷲谷いずみ(東京大学愛知演習林*アドバイザー・教授)
P87 【アンケート結果】
*現名称・生態水文学研究所
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