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日本学術振興会人文社会科学振興プロジェクト
「青の革命と水のガバナンス」研究グループ
平成19年度人文・社会科学振興プロジェクト研究事業 
「飛び出す人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜」報告


武庫川 川と上手につきあう総合的な治水の実現

日時:平成19年7月16日(月・祝)
会場:兵庫県宝塚市売布2丁目5-1
ピピアめふ14階パーティールーム

研究領域:水のグローバル・ガバナンス
グループ名:青の革命と水のガバナンス
グループ長:蔵治 光一郎


会場には14:00には18人が集まり、予定通り始まりました。まず全員が簡単な自己紹介をしました。武庫川流域委員会委員の方が7人、武庫川で市民活動をしている団体の方が数名、漁協組合長、県職員、マスコミ、学生の参加もありました。続いて、コーディネータの平川秀幸先生(人社「リスクガバナンス」グループ長)の司会で話を始めました。まず話題提供者の蔵治光一郎(人社「青の革命と水のガバナンス」グループ長)がパワーポイントや配布資料などをいっさい使わずに話し、青の革命や総合治水についての持論を紹介しました。「河川行政担当者は河川法に縛られるのではなく、河川法の仕事は片手間にやっていただいて、本務は総合治水をやるくらいの意気込みが必要だ」という話もありました。それを受けて飲み物を飲みつつ参加者から「どうすれば総合治水は実現できるのか」という観点から意見を求めました。木嶋さん(漁協組合長)「平成に入ってから魚は種類も量も減っている。放流しても追いつかない。昔は釣り道具屋が宝塚にたくさんあったがなくなった。川の水量が減っている。昔は下流でもアユがとれた。川のことは魚に聞かないと」、参加者からは「穴あきダムの穴が魚道になるのか疑問。大事なものは何か」「キャッチフレーズが必要でその意味で魚は重要」「どうなることが総合治水か、破堤しなければ越流しても床下浸水程度はOKなのか合意がされていない。基本高水の話題ではなくて市民の生活視点での議論が流域委員会でも必要なのでは」、「楽しい時は集まるが住民の川への興味が続かない」「住民は多様で期待しすぎても被害なし・恩恵なし・価値なしでは難しい」「総合治水は実は単純で、今までの早く流すからできるだけゆっくり流すに変えるだけ」「望ましい方向に誘導するための税制やインセンティブが必要」「川の楽しさも連携のポイントでは」「川は排水路になっており人間は加害者。山を切り開いて住宅地にしてきた。阪神間の農地は生産緑地とし住宅化された。川のビジョンが必要」、そして松本さん(流域委員会委員長)からは「住民(くらし)と川の関係が希薄。住民も行政も研究者も学習するしかない。雨水利用で水循環を維持するのが川であることに気付く必要がある。行政システムにも問題があるが、2級河川だから突破口はあるはず」、などの多様な意見が出ました。県職員のYさんは個人的な立場と断った上で、本音を語っていただきました。最後にトランスレータの中川芳江さん(流域委員会委員/(株)ネイチャースケープ)から「ダムを作る・作らないへの合意ではなくてどういう川にしていきたいかへの合意と解決策が大事。そのためにもみんなが関われる視点(キャッチコピー)が武庫川には必要」という合意形成や総合治水に対する思いや、河川整備基本方針の原案が提示されたばかりという現在の武庫川の計画づくりの進行状況と今後のスケジュールについて紹介され、終了しました。会場では武庫川流域委員会がまとめた提言書「武庫川の総合治水に向けて」が配布されるなど有意義な情報・意見交換の場となりました。


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